開店と同時にシャッターが閉ざされた状態にあるのが憲法審査会。3年前に成立した「憲法改正のための国民投票法」が5月18日に施行されるというのに、衆参両院ともに肝心の憲法審査会が構成されていないために宙ぶらりんという奇妙奇天烈な事態が起こっている。


 28日に開かれた「新しい憲法を制定する推進大会」では、7党の代表が出席して、それぞれの党の憲法についての考え方を述べたが、政府与党を構成する社民党は欠席した(共産党も)。この党は一貫して憲法改正に反対の態度を明らかにしてきており、衆参両院の憲法審査会の議論でも、また、後の国民投票法をめぐる議論の場でも改正論議そのものを否定してきた。同法が07年に成立したにもかかわらず、その採決の在り方に問題があるとして、冒頭で述べたような事態を一切打開しようとはしない。民主党もこうした社民党の動きに同調し、参議院では審査会の委員数や表決方法などの運営ルールを定める規程さえも作ろうとしていない(衆議院では辛うじて決めた)。


 社民、共産の憲法改正への消極的そのものの姿勢があるからこそ、私は憲法改正という国のあり方に深く関わる問題をじっくりと議論するために、あえて当初は2年とされていた公布日から施行日までの期間を3年に延ばすことを提案した。しかもその期間中は憲法改正原案の提出や審査することを凍結し、現行憲法の何を変えるべきか、あるいは変えずともいいか、の根本的な議論をしようと呼びかけたのだ。1)成人年齢の18歳への引き下げ 2)公務員の政治的行為の制限規定の見直し―といった「宿題」もあったが、一切手をつけぬまま。参議院選挙前に、民主党政権が動くとは考えにくい。異常な事態は続く。