「(高速道路料金は)原則無料化と申し上げてきた。全部無料化にするなどとは言っていない」―一昨日のNHK日曜討論での前原誠司国交相の発言だ。去年の衆議院総選挙に際して、多くの国民が民主党のマニフェストに期待して投票をした結果、あれだけの議席を獲得した。高速道路を原則無料化するとの看板を、姑息な表現で今更言い訳するとは全く嘆かわしい限りである。


 この問題は、民主党の内部からも、政権を構成している他党からも反論が出ている。なかでも、民主党所属の国土交通委員長に至っては、政府提出の「道路整備事業財政特別法改正案」に反対を表明、委員会では断じて通さないなどと発言し、物議を醸した。そもそも国会の委員会の委員長は与野党を超えた中立・公正な立場を求められる。たとえ、個人的に反対であっても、それゆえ、委員会の審議とは別に自分の意思で通す、通さないなどといったことを口外するとはもってのほか、だとの批判が専らだ。こんなことを言い出す委員長がいるとは、民主党という政党は一体なんなんだ、との声が強い。


 国民新党や社会民主党からも高速道路料金が無料化が一部だけで、大半が実質値上げとなることに対して強い反発がある。テレビで斉藤公明党政調会長が指摘していたように、政権内部の調整すら出来てない実態をさらけ出した格好で、お粗末としかいいようがない。高速道路料金をただにするなどと言う民主党のマニフェストに騙されてはいけないということを訴えてきた私たちとしては、だからいわんこっちゃないとの事態が相次いで起きている。これでは、政権支持率と共に、民主党離れも決定的になるのは無理もない。