映画「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」―ご存知寅さんシリーズ第17作めは、播州たつの市が舞台。女優の故・太地喜和子がヒロインだった。そのたつの市で選挙が始まった。先週末の日曜日は告示日とあって、早朝からたつの市内の公明党公認候補者の事務所開きに出席したところ、懐かしい人たちにいっぱい出会った。


 たつの市は今回二名とも新人が挑戦するが、そのうちの一人は、かつて私が初めてたつの市内を回った頃にあちこちと連れ歩いていただいたご夫婦の息子さん。出陣の挨拶で、「自分は今まで政治に特に関心を持って勉強をしたわけではなく、全くの素人である」と正直に述べていた。親父さんのあとをほぼ継ぐ格好で、懸命に看板業を営んできた人だけに、政治の世界とは程遠い。ただ、その庶民感覚こそ公明党の議員としては大事なところだ。地域のおじさんやおばさんの声なき声を代弁して、しっかりと議会に届ける一方、政策化して解決を図る努力を続ける―その議員を大きく育てるのは、今日来ていただいている皆さんの熱意しだい、と強調した。


 もう一人の候補者もサラリーマンとして普通の人生を歩んできた。公明党の闘いに関心は持っていても、よもや自分自身が候補になるとは思いもよらなかった、と私に先日率直に語っていた。平凡な青年たちが庶民の代表として議会に出馬して活躍するー思えば大変に得難いことだ。旧たつの市内だけでなく、旧の揖保川町、御津町、新宮町と合併で広がった地域は、あの司馬遼太郎が「街道をゆく」の「播州・揖保川室津みち」で、詩情豊かに描いた地域と重なる。各地を目一杯回って票固めを行うなど充実した日を過ごした。