子どもが虐待を受けるケースが去年一年で4万2664件。統計を取り始めて毎年増加しており、平成11年、今から10年前と比べると実に4倍近くなっている。しかも、死亡が増えており、年間約50件、つまり一週間に一件発生していて、0歳児が5割弱と言うのが実態だ。こういう現状を背景にして、公明党の児童虐待・子育て支援に関するプロジェクトチームでは今日、日本社会事業大学の宮島清准教授を呼んでいろいろと話を聞いたあと、意見交換を行った。
現場の経験が長い人らしく豊富な経験に基づく貴重な話を聞かせていただいた。結論的には、児童相談所、市町村における相談体制の不足、つまりは社会的養護体制の不足ということに尽きる。発生を予防するためには、虐待に至る前に気になるレベルで適切な支援が必要ということであり、早期発見、対応が必要という平凡なことになってしまう。
子どもたちが発信するSOSを素早く見分けて、適切に動くにはプロの目が必要だとの意見なのだが、果たしてプロが増えても事態は解決しないのではないかとの懸念を私は、持つ。プロよりアマがこうした事態に無関心であることが大きいのではないか、と。宮島さんは、プロもアマも人生経験が必要で、そのためには映画が重要な役割を果たす(例として、「容疑者Xの献身」「キクとイサム」「ショーシャンクの空に」を見たらいいと指摘)と言われた。これには、私も大賛成だ。結局は、今の大人はかつて戦争が全ての人々の人生を引き裂いたような意味での不幸を経験していないがゆえに、感性が非常に鈍くなっているのではないか、と思う。