嵐の予感のするなか、今年の通常国会が召集された。今日は、菅副総理兼財務相による財政演説が衆参の本会議場で行われた。前の藤井財務相が健康問題を理由に辞めた後の、新任担当相だけにじっくりとした所信表明を込めた演説が期待されると思いきや、全くおざなりでありきたりのわずか5分の短い演説には驚いた。それにしてもこれだけ世間を騒がせ、政権を根底から揺るがせている問題に全く触れない演説も奇妙ではある。「引き続き鳩山内閣の一員として、政治主導、国民主導の新しい行政を実現し、国民生活に安心と活力をもたらす」というくだりに、一工夫あってしかるべきであったろう。財政には関係ないというべきではない。政治への信頼あってこその国家経営なのだから。


 それにつけても鳩山首相の言動はいかにも軽い。小沢幹事長に「(検察と)戦ってください」と言ったと思えば、反応の悪さに直ちに前言を翻し、検察を批判したわけではない、と述べるなど疑念は尽きない。先にも米軍の沖縄・普天間基地の移設をめぐって、米国のオバマ大統領に「トラスト・ミー(私を信じて)」と言っておきながら、その言葉とは裏腹な行動をするなど、いたって分かりづらい。こうしたことの連続では、内外の信頼を裏切るだけで、何も期待できないことだけがはっきりするばかりだ。


 民主党の代表、幹事長が揃いも揃って政治資金規正法違反の疑惑に包まれ、しかも秘書のせいにするなどといった体たらく。自公政権10年のあとの、新たな立ち位置にたった公明党として真価が問われるだけに、心して臨みたい。