中小企業の金融円滑化法案(いわゆる中小企業モラトリアム法案)は、先の本会議での民主党の強引な国会運営で強行採決され、公明党が賛否の結論も出さないうちに、参議院に送られてしまった。今日の公明党の中央幹事会では、通過してしまった法案について、賛成の態度を決めるという異例のことが行われた。


 この法案は、中小企業の厳しい現況に鑑み、金融機関は出来る限り貸付条件の変更などをするというもので、亀井金融担当相の人気取りそのものと見なされてきた。中身についても、1)民間の契約に間接的にせよ国が「努力義務」とはいえ、関与する仕組みで、財産権の侵害にならないか 2)中小企業が条件変更を受けることによって、結果としては貸し渋りを増やすことにならないか 3)貸付条件を変更するといっても、一時的な返済先送りで、結局は別途仕事を作る事が大事ではないのか―などといった論点が指摘される。そうしたことをしっかり議論をしようとしていた矢先に、強引なやり方で議論を打ち切ったわけだ。民主党としては、中小企業のためだから、何をしても野党も反対できないだろうとの底意地の悪さがほのみえた。


 公明党の担当部会としては、中小企業の資金繰り支援として、法案の方向性は理解できるものの、法律と一体関係にある「検査マニュアル」なるものの詳細が不明であり、実効性をどう担保するかについて、十分な判断材料がないといった問題点を洗い出していた。今日の会議では、参議院でしっかりとそういった部分の議論をしていこうということを前提に賛成を決めたわけだが、既に通過してしまった法案をあとから態度決定をするするとは、いかに民主党のやり方が酷いかがわかろうというもの。しかし、中小企業者にとって必要と判断、見栄も外聞も捨てての「英断」となった。