沖縄の米軍普天間基地移転をめぐる問題についての民主党政権の迷走ぶりは目に余る。これまで永い間の自民党政権や自民公明連立政権下にあっても手を焼いた問題だから、快刀乱麻に解決するということは誰も期待していない。が、少なくとも今の時点で、閣僚の間で意見が違うというのはどうみてもおかしい。


 北沢防衛相が現行計画でいいのではないか、と言ったと思うと、岡田外相は、嘉手納基地との統合を模索したいとの発言をする。同外相が年内にはと言うと、首相は、来年の選挙結果を踏まえてと言ったりする。ようやく、昨日行われた日米閣僚作業部会で外相と防衛相の間では年内に一定の結論を出すことについて、首相が尊重すると言って収まったかに見えた。が、これも内実はあやしい。なぜかなら、首相は、オバマ大統領との会談の直後にも言を左右している前科があるように、平気で前言を翻すからだ。


 このあたりを今日の外務委員会の質疑で取り上げた。関係閣僚で調整をしないのか、と訊いたところ、首相は忙しいのでなかなか議論する機会はないが、外務、官房、防衛、沖縄担当の4大臣はそれなりに協議しているという。それにしては、まとまりが悪い。それだけ難しい課題だということは分かるが、あまりに不手際が多すぎる。岡田外相は、官僚に任せて積み上げ方式でやってきた前政権と違って、政治主導の我々はそれぞれの立場で意見が違って当然と受け取られるような発言をした。果たしてそれでいいのか。


 この問題は、既に前政権で合意をみた辺野古沖に移転させるという現行計画を粛々と実行に移すしかなかったはず。政権交代をしたから、もう一度ゼロからやり直すというのは、外交上も百害あって一理ないと思う。