「やれるものならやってみろ」という声もある―11日の公明党農林水産部会での全国農業共同組合中央会(JA全中)の幹部との懇談は様々な意味で面白かった。民主党政権による「戸別所得補償制度」を巡っても、本当にそんなことがやれるのかの疑念は、他のテーマと同様に強い。  


 このたび、同制度及び水田農業政策にかかる政策提案を発表したJA。その提案のポイントは 1)水田農業の維持・発展を可能とする万全な所得確保対策の確立 2)地域の農業振興を核とした自給力向上対策の確立 3)米の需給と価格の安定をはかる総合的な需給調整の仕組みの確立―の3点。真面目に説明を続けるJAの幹部に、つい私としてはいたずら心も手伝って質問をしてみた。


 「前政権の担い手だった人たちからは戸別所得補償なんてできっこないとの声があるが、どうなの」と。この質問を皮切りに、同席した私の仲間からも「大体、この制度はJA外しの側面が強いのに、JAとしてはいいのか」といった意見が相次いで飛び出した。その際にでた答えが冒頭の言葉である。与党との関係を気にしながら言いづらそうな発言が堰を切ってでてきた。


 もっともこの制度が魅力を持っているのも確かである。従来のようにJAを通さずに農家を直接支援してくれるというのは、多くの農家にとってありがたいからだ。国の膨大な農業予算が農家の所得に回ると言うよりも結局は無駄な公共事業に流れているのではないか、との見方も根強くあるだけに、なおさらであろう。こういったことから、なにはともあれ期待は大きい。


 だがしかし、実際に導入するにあたっては数々の解決されるべき課題が山積しており、およそ現実的ではなく挫折するのは目に見えているとの指摘もあり、私もそう確信する。そうした点を指摘すると、同幹部は、現場が混乱するのをなんとしても避けるためには、我々の提案を呑んでもらうしかないのです、と言うのだが。