肝炎対策基本法案は、一昨年に自民党と公明党との間で合意を見たものの、その後は不本意な経緯があって、さる7月の衆院解散に伴い廃案となってしまった。患者の皆さんからは「もう待てない。なんとかこの国会中に成立させて欲しい」との強い要望が寄せられてきている。公明党としては、既に衆参両院の本会議や予算委員会の場で、早期の成立を求めてきている。鳩山首相も積極的な対応を約束しているのは周知の通りである。


 今朝11時から座長である私が開いた、公明党肝炎対策プロジェクトチームでは、最終的提出予定法案の文案を検討し、賛同をえた。これまで、C型肝炎をめぐる薬害事件にせよ集団予防接種が原因となったB型肝炎事件にしても、国家の責任をどこまで認めて法律の中に書き込むかで、与野党や患者団体との間でなかなか合意を得ることは容易ではなかった。


 今回はそのあたりを次のようにまとめた。
「また、B型肝炎及びC型肝炎にあっては、特定の血液凝固因子製剤にC型肝炎ウイルスが混入することによって不特定多数の者に感染被害を出した薬害肝炎事件及び集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスの感染被害を出した予防接種禍事件が起き、薬害肝炎事件では、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止し得なかったことについて国が責任を認め、予防接種禍事件では、最終の司法判断において国の責任が確定している。」


 二つの異質の事件についての二つの微妙に異なった責任の所在を、一つの文章に表現しており、読み辛さは否めない。なぜ二つをかき分けないのだろうか。(これが法律を作る法制局の文章作法なのだが、このあたり抜本的な改革の必要性は大いにある)これでC、B型双方の患者の皆さんが満足するのか、との懸念は残る。しかし、これ以上は踏み込めないとの“国家事情”も分かる。必要最小限の要素を盛り込むとこういったところに落ち着く。過去よりもこれからの肝炎対策を国家があげて取り組む姿勢が打ち出されることがなにより大事だ。これからもしっかり対策に取り組もうと、出席した衆参の9人の議員はお互い誓い合った。