「友遠方より来る」―国会が始まった先週、様々な人たちとの出会いがあったが、なかでも印象深いのは台湾の許世楷・前台北駐日経済文化代表処代表である。この人は日本より一足早かった台湾の政権交代(民進党から国民党へ)に伴って、先年離日された。この日は4月いらいという久方ぶりの日本訪問の機会に、忙しい日程の合間を縫って、公明党の関係議員と交流を深めるために国会にきてくれた。かつて、同氏は大阪に訪れる機会があった折に、私の選挙区・姫路に足を伸ばし、初めて姫路城に昇ったことが懐かしく思い出された。

 

 台湾の最近の動向をめぐって、私から 1)さる八月に台湾を襲った台風が与えた、国民党政権への影響 2)台湾での日本のNHKによる偏向報道(シリーズJAPANデビュー 第1回「アジアの“一等国”」)の反響 3)台湾の国連および国連機関参加問題―といった課題について意見を求めた。許氏は、待っていましたとばかりに答えてくれた。1)先の台湾大地震における李登輝元総統の迅速な対応と比較して、著しく遅れた馬英九新総統の処理ぶりに批判は強い。劉兆玄内閣の総辞職など支持率低下が目立つ。中国から義援金が直ちに寄せられたが、その額をめぐっても国民の不信を買う場面があった 2)なぜあのような報道がなされたのか、台湾でも疑問に思う視聴者が多い。日台関係に亀裂を生じさせるような姿勢は問題だ。反日の台湾女性議員らが靖国神社でもみ合いになった問題が、日本ではあまり報じられていないが、台湾では大いに話題になった 3)5月に台湾は永年の希望であった世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加を中国の同意のもとに実現させることができた。応援を頂いた皆さんに感謝したい―といった返事が返って来た。


 とくに三つ目の問題は、私が厚生労働副大臣時代に要望を台湾当局から受けて尽力してきたテーマだけに、ようやく陽の目をみたことで喜んでいただいたことは大層嬉しいことであった。