橋下徹、丸山和也―この二人の名前を応援弁士の一覧のなかに発見して、なら、行ってみるかと、会場に来た人は少なくなかったはず。かくいう私でさえ期待感がなかったと言うと嘘になる。日曜日の夕方の神戸国際会館は、兵庫県知事選挙に三選を目指す井戸敏三氏を支持する人たちで開会前には既に場内はいっぱいであった。


 しかし、お目当ての二人はともにドタキャン。いささか拍子抜けは否めなかった。尤も、衆議院選挙を前に地方分権をめぐる首長連合を呼び掛ける一方、支持政党の表明をも明らかにしようとするなど、なにかと騒がしい府知事がきて持論を展開したり、自民党参議院議員でありながら自由気儘な発言を売り物にする“走る弁護士”の登場では、本題を飛び越え脱線しかねなかっただけに、かえって良かったかもしれない。しかも、ピンチヒッター役の旧自治省同期の福井県知事・西川一誠氏が見事な代役を果たしたし、また兵庫在住の女流作家の玉岡かおるさんが、鮮やかな感性で、見事な応援の弁を語ったこともあり、十分満足できる中身であった。


 周知のように、都議選と並び衆院総選挙の前哨戦に位置付けられて大激戦が報じられる静岡県知事選と違って、共産党をのぞく与野党四党相乗りで推薦している兵庫県知事選は、当初から低調ぶりが懸念されてきた。四年前の前回の投票率33・3%を上回るかどうかが焦点というのでは、どうしょうもない。


 火曜日夜には、高砂市でひらかれた個人演説会に私も応援弁士として参加した。衆議院選挙間近とはいえ、知事与党の政党をおおっぴらに批判することは、マナー上差し控えねばならないとは思ったものの、そう上品にもやってられない。自民党対民主党の対立に見えていて、その実は自公連立政権対民社政権にあり、中道政党対旧左翼政党といった連立のパートナーの質の違いが問われる選挙だとの話をした。県知事選挙が、共産党対非共産党連合といった古い構図であるのに比し、新しい構図であることを見抜く必要性を力説した。そうすることで、一度民主党にやらせたらとの考え方を打ち破る事ができると、強調した。