1)唯一の核使用国としての同義的責任 2)核兵器のない世界を目指す 3)米ロ核軍縮の推進と核不拡散条約(NPT)の強化 4)包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効―オバマ米大統領がプラハで、さる4月5日に演説した内容の骨子である。いかにもこの人らしい斬新な提案である。唯一の核被爆国として、日本がこれにどう対応するかが当面問われている。


 公明党は、かねて新非核3原則(核を 1)持たせず 2)作らせず 3)使わせない)を打ち出す(99年の党大会基本政策)一方、北東アジアの非核地帯構想を具体化するための北東アジア安全保障会議(NASC)の設置を提案するなど、核軍縮にむけての積極的な政策を立案してきた。しかし、米国共和党政権の核軍縮への後ろ向き姿勢や自民党の核抑止政策に阻まれる中で、その実現への具体的対応に逡巡してきたことは残念ながら否定しようがない事実である。しかし、いまや当の米国のリーダー自身が変革の旗印を掲げる事態となった。リアリズム(現実主義)の意図する方向が逆転したのである。勿論、オバマ大統領の意志の真贋を問うのは自由であろう。しかし、それを不可逆なものとして、強く押し込む政治的意思こそが求められている。


 また、時を同じくして北朝鮮の核実験の強行が話題を呼んでいる。日本国内にはまたぞろ「断固たる措置を」の大合唱が行われている。この対応の最右翼に位置するものが“先制敵基地攻撃”であろうことは論を待たない。しかし、そうした対応を反射神経的に発信することはあまり得策ではない。北朝鮮の論理構成に耳を重ねる時に、そうした短絡的対応の行きつく先こそ彼らの“自爆的決断”を招くものであると、懸念せざるをえない。中国という歴史的宿縁深厚の隣国、韓国という彼らと血を分けた同胞の存在との連携のなかで、ソフトランディングの外交姿勢の道を迂遠のようでも求めることが最も大切ではないか。


 ヨーロッパ的世界から東西対決が後衛に退いた今、北東アジアにおける平和の定着をどう実現させるか、叡智の結集こそが望まれるところに違いない。