東京・大手町の皇居のまん前にある消防庁の救急情報センターを15日の朝、衆議院総務委員会の一員として視察した。一昨年の8月に未受診妊婦が奈良県と大阪府の計9つもの病院に受け入れを断られ、約3時間後に搬送中に死産となったことをきっかけに、いわゆる「救急患者のたらい回し」が社会問題化してきていることは周知の通り。その後も、最も医療体制が整っているとされる都下で、次々と同様の事案が発生、病院側の受け入れ態勢の脆弱化への懸念やら不信感が高まってきている。こういった状況を背景に、円滑な救急搬送や受け入れ体制の構築を図るために、必要な組織を設置することなどを目的にした消防法一部改正法案が提出され、審議されることになっている。この日の視察はそういった審議を前に、現場を見聞きしておこうということから実施されることになったもの。


 センターに到着するなり、救急活動のシュミレーションを見せていただき、総合司令室での救急指令業務や救急相談センター事業を視察した。たまたま前日に消防庁の直ぐ近くの建築工事現場で、大型のくい打ち機が横転し、歩行者らを巻き添えにする事故が起こっていたが、こうした事故は東京では日常茶飯事とのこともあって、淡々と業務がこなされていた。2年前から導入されている東京消防庁の救急相談センターでの♯7119の受付番号による対応は、救急相談医と看護師によって行われており、受付件数は増える一方(現在一日の件数は平均700件)。尤も、大事に至らないどころか簡単なことで済む問い合わせも30%ほどはあるとのことで、見極めが難しい。そこで、いつでも誰でも同じ対応が出来るようにと、『電話救急医療相談プロトコール―電話による傷病の緊急度、重症度評価のために』が出来ており、効力を発揮しているようだ。帰りに、「委員長に一冊贈呈します」と言われて、いただいたが、このプロトコール(情報を送受信するための手順)は、専門家が関与して出来たもので、一般家庭に常備されていくようになればすばらしいと思われる。