2011年7月24日まで、あと836日。地上デジタル波に完全に切り替わると、アナログ放送用テレビ受信機では今まで通りに見ることが出来なくなる。国会では衆参両院の議員会館の一階ロビーで移行に向けてのデモンストレーションが行われている。一方、8日には、総務委員会で、こうした一連の取り組みと関係する「電波法および放送法改正法案」の質疑が行われた(共産党を除く各党の賛成多数で通過)。デジタル化の方針が公表されたのは、既に8年前。10年かけてこの大事業をやろうということであるが、なかなか進展していない(当初予測の本年1月時点での加入世帯は、全世帯比58%だったが、49.1%どまり)。高いお金をかけてテレビを買い換える余裕がある家庭は、政府が予測したほどにはないということか。


 今日の審議でも、「なぜ地上デジタル放送に替えないといけないのか」「国の方針で替えるというのなら、個人負担はおかしいのではないのか」などと基本的な質疑があらためて展開された。総務省当局の答弁は、「1)高画質、高音質の視聴が可能になるなど多用なサービスが受けられる 2)周波数の効率化がもたらされ、他の用途に使える 3)関連産業の市場拡大が期待され、経済的波及効果が高い―などのメリットがある」「簡易なチューナーの開発や経済的に困窮している方々への支援などは別途考えている」などといったもの。


 今の時点では、まだまだ先のことだからと真剣に考えていない向きも多かろう。早い話、我が家でもデジタル対応テレビを未だ購入する計画はない。良い画像はいいとは百も承知だが、余り見る機会もないのに、いいものを買っても、との気分が働く。お年寄りの対応の困難さや、受信障害地域対策、不用になったアナログテレビのリサイクルの在り方など課題は山積している。政府与党のワーキングチームは8日、新たな経済対策の一貫として、6月から39000円を上限に13%の購入補助を決めたが、実現すれば朗報だろう。残された日数は少ない。土壇場になって積み残された課題が解決しないからといって、ゴールをのばすわけにはいかないだけに、慎重かつ大胆に政策遂行を進めていきたい。