21年度予算案が通過したあとの、今国会衆議院での最大のテーマである「消費者庁設置法案」の審議が始まった。いきなり、野次で「福田前総理はどこへいったんだ。いないじゃないか」と繰り返し叫ぶ民主党議員がいた。同党の質問者も「消費者にとって非常に重要な法案の審議が始まるというときに、福田前総理がいらっしゃらないというのは大変に残念なことでありまして、どこまで本気だったのかなと疑問を持たざるをえなせん」などと冒頭に質す始末。鬼の首でも取った気持ちだったのかもしれないが、麻生首相から「ボツワナで開催をされているアフリカ開発会議のフォローアップ会合などに出席するため、政府特使として出張しています」とあっさり返され、肩透かしを食らっていた。しばしば、小沢党首が議場に姿を見せないため、与党から野次でやられるものだから仇討ちのつもりだったかもしれないが、これでは返り討ち。


 公明党の田端議員は、一貫して消費者第一、生活者第一の消費者庁の設置を要請してきた党の代表として、さらには自身が、記者としてイタイイタイ病を追跡取材したり、カネミ油症事件にもかかわった立場から、いかに食の安全が大切かを指摘。共に、消費者庁に一元的に権限が集約されることによって昨今の事故米などの事案が早期に対応できるとするなど、聞き応えのある質問を展開していた。


 この法案には民主党が対案を出している。「消費者権利院」なるものを置いて政府の外から勧告を行うとの考え方が主軸になったもので、かなり彼我の差は大きい。これからの本格的審議のなかで、お互い歩み寄りが出来るところがあれば、大いに建設的妥協をして合意を得る作業を進めていきたい。