核廃絶―世界で唯一の被爆国である日本にとって、もっとも関心事でなければならないはずのテーマ。だが、いまいち政治の現場ではなおざりなのが気になる。私自身もかつて外交委員会の場で取り上げてきたのだが、このところは遠のいている。


 先日、ICNND日本連絡会のピースデポから連絡があり、オーストラリアのティルマン・ラフ氏(IPPNW;核戦争防止国際医師会議)と川崎哲氏(ICNND・日本NGOアドバイザー)との意見交換の要請をいただいた。いい機会なので、喜んで引き受けた。ICNNDとは核不拡散・核軍縮に関する国際委員会のことで、昨年10月に活動を開始したばかり。川口順子氏とギャレス・エバンス氏という日豪の元外相二人が共同議長を務めているもので、世界各国からの15人の委員で構成されている。当面は、2010年5月に開催されるNPT運用検討会議の前に、具体的な勧告などを含む報告書を提示することを狙いに、国際世論の喚起に取り組み中である。既に、シドニー、ワシントンDCで同委員会は開催されており、6月にはモスクワ、10月には広島でも開催が予定されている。


 意見交換では、先方からこれまでの経過やNGOとしての支援状況の説明があった。私からは、米ソ核対決が終息してから、根拠のない核軍縮への期待があったことの誤りを指摘、むしろ中東地域を中心に新たな核兵器の拡散が懸念されることを強調した。


 語らいは、日豪の海賊対策や両国で今話題の「シーシェパード」がからむ捕鯨問題に及んだ。そのなかで私は子どもの時にみた反核映画『渚にて』に触れて、強い印象の残る良い映画だと強調、日豪の若い訪問者たちに強く薦めたものだ。