昨年大変な騒ぎになった問題の一つが、後期高齢者医療制度(長寿医療制度に改め)。その後どうなったかは気になるところ。結論を先に言うと、この春までをメドに幅広い議論を経て見直しをしようとしている段階。公明党も党内の議論の最中だ。


 旧の老人保健制度には、1)若人と高齢者の費用負担の関係が不明確(世代間不公平) 2)保険料を納めるところ(健保組合等の保険者)と、それを使うところ(市町村)が分離(運営責任不明確) 3)加入する制度や市区町村により、保険料額に高低(世代内不公平、地域間不公平)―などの問題点があった。このため、この仕組みを 1)若人と高齢者の分担ルールを明確化(若人が給付費の4割、高齢者が1割、後の5割は税金) 2)保険料を納めるところとそれを使うところを都道府県ごとの広域連合に一本化し、財政・運営責任を明確化 3)都道府県ごとの医療費水準に応じた保険料を、高齢者全員で公平に負担―に変えた。


 しかし、制度が実施されるに伴って、年金からの天引きへの不満や、低所得者への負担増を誇大に吹聴する野党や一部メディアの攻撃が執拗に展開されたことは、周知のとおり。このため、昨年来、政府与党は、1)低所得者に対する保険料の軽減(均等割、所得割) 2)70~74歳の患者負担の見直し(1割→2割への引き上げ)の凍結 3)被用者保険の被扶養者の9割軽減措置の継続 4)年金からの保険料支払いを口座振替との選択制に―などの改善をするよう進めてきた。この間、舛添厚生労働大臣が長寿医療制度と国民健保の一体化に関する私案を提起したり、抜本的改革やら見直し論議が飛びかった。よりましなものを追求することはいいが、野党の「後期高齢者医療制度等廃止法案」はいただけない。これは、この制度を20年度限りで廃止し、古い老人保健制度を21年度に復活しようというもの。


 これには、1)廃止のために必要な措置の具体的中身がない 2)負担のルールや運営主体が不明確といった問題点を持つ制度に逆戻り 3)逆に負担が増えて格差も広がる―などのさまざまな問題点が指摘されている。