昨日は夕刻になって重い訪問を受けた。小児脳腫瘍の会を代表するひと達が私に要望を是非ともしたいと言うことで来られたのだ。子どものがんの中でも最も死亡率が高いとされる小児脳腫瘍。日本では年間に千件ほど発生していて、患者数は、一万人ほどではないかと見られている。生き残ったとしても、働けないような障害を持つといったケースがほとんど。先日NHKの「クローズアップ現代」でも放映されたから、ご存じの方もあろうかと思われるが、今までは、この病気の実態については、全くと言っていいぐらい知られて来なかった。


 実は、話していて、ふと思い出したのは、私の遠縁にあたる方から、「生後まもない孫の脳に障害がある。どこかいい病院を紹介して欲しい」と言われたことだ。その後、担当の医師とも電話で話したが、最近こうした脳に腫瘍があるといったケースが少なくないと言われていた。この今問題の小児脳腫瘍ではなかったか、と初めて気付いた。


 月刊誌『公明』の新年号に北海道大学病院脳神経外科の澤村豊先生の「小児脳腫瘍の悲劇を繰り返さないために」との論文が掲載されている。澤村先生は、きわめて腕がいいため、患者の親たちの間では、神さまか仏さまのように尊敬されているという。この論文が指摘しているように、専門病院による治療体制の確立が急務であろう。


 ひと月に十万円近い医療費や薬に必要なお金を稼ぐために、これから生きるしかない。そんな子どもが哀れだ―患者の子どもたちの悲しい現実を嘆くお母さんたちの話を聞いて、つい厳しい言葉を贈った。「弱音を吐いちゃだめですよ。お母さんがしっかりしなきゃ」―神戸のプロップステーションのナミねぇこと竹中ナミさんの「障がい者を納税者に」と呼びかけるたくましい生き方を見習いなさい、と。