『実録・憲法改正国民投票への道』なる本が著者の中山太郎氏から送られてきた。衆参両院を通じて最高齢の同氏は、衆院憲法調査会の会長を発足いらい務めてきた。参院側が次々替わってきただけに、ひときわその存在は光る。が、今はその立場にない。調査会が「憲法改正のための手続き法」を成立させ、役割を終えたと同時に、新たに設置されるはずであった憲法審査会が、民主党の理不尽な姿勢から放置されたままになっているからだ。“開店休業”ならぬ開店直前に閉店に追い込まれようとしているわけで、由々しい事態といわなければならない。


 さる26日は、党憲法調査会を開き、ここらあたりの対応を協議した。同法の成立によって、目下の課題は、公職選挙法、民法などの改正、とりわけ成年年齢を引き下げるための法的措置を講じる必要がある。


 法務省では、審議会を開き検討を重ねてきており、近く中間報告がなされる予定だ。この日の同省からの報告では、そもそも成年年齢を引き下げるかどうかについては賛否両論併記の形になるとの方向性とそれに至るまでの経緯が述べられた。法制審の論議と憲法調査会の大勢とはかなりギャップがあるようだ。私などは18歳に成人年齢を引き下げるのをきっかけに、教育の大改革に踏み切るべきと思う。しかしながら、今でも幼児性が抜けない二十歳なのに、さらに下げてどうするのか、との反論は根強い。


 ともあれ、政治家が自身たちの決めた方向のフォローアップをしないままズルを決め込んでいるのはどう考えても異常だ。もっとも、このままいけば、三年後に法そのものはスタートするわけだから、憲法改正を党是にする自民党はむしろ望むところに違いない。したがって、一切変えてはならないという勢力こそ、立ち上がって、どこをどう変えるか、また変えないのかの議論をすべきだろう。