20日は、朝から夕方まで、明石市内を挨拶に回った。スタートが、生コンを扱う建材会社。延々と経営の窮状を訴えられた。中小企業支援策の追加的打ち出しを約する一方、不況に勝ち抜くには、幸運を呼び込む経営者の明るさしかないなどといった精神論を強調。我ながら、危機に直面する経営人への無力さを実感してしまった。さらには、年金暮らしの病気治療中の老母と障害を持つ50歳台半ばの男性といった親子二人の家庭を訪問。かさばる医療費をなんとかしてほしいとの悲鳴に近い嘆きを聞いた。息子の気弱さに比べ、ソファーに半身を横たえながらも、薄化粧をされ、けっしてやつれてはいない気丈夫な老母に救いを見た。生活保護を受けてもらうしかないかと思いつつ、同行の市議の引き続きの激励をお願いして、辞するしかなかった。厳しい現実に喘ぐ人たちとの会話が続くと息苦しい。


 他方、古くから続く造り酒屋のI酒造の経営者に会った際は、ほっとした。ご多分に漏れずこの業界も杜氏不足などから、縮小傾向が強い。しかし、ここは、知恵と工夫で乗り切ろうと格闘しておられる。年に二回ほど落語家を招いて酒蔵の二階で高座を開く。二百人ほどの市民が楽しみにして集まってくる。また、杜氏になった後継の若い長男が先に結婚をされた際に、昔ながらの花嫁行列を一キロに渡ってされた。地元紙にも報道されたとのこと。懐かしいような、微笑ましいような記念写真を見せていただきながら、見事な広告塔を果たす若夫婦の前途に幸多かれと願わずにはおれなかった。