従来の制度では、75歳以上の高齢者は主に市町村の国保に加入しながら、老人保健制度の枠組みに入っていました。医療費が膨らんだ分は、企業の健保組合などが拠出金で支援してきましたが、現役世代がどこまで支援するのかが不明確であり、高齢者医療費の増大が続く中で現役世代の負担が青天井になるとの懸念も強くありました。高齢者の医療費が必要以上に膨らまないように誰が責任を持って取り組むのかも明確ではありませんでした。


 さらに高齢者の多い市町村では国保が財政破綻の危機にあるなど、そもそも老人保健制度では超高齢化社会へ突き進むわが国の医療を支え切れないという共通の認識から新たな制度の創設に踏み切ったはずです。


 平成12年の医療制度改革の審議では、参議院において関連法案を可決した際に、共産党を除く各党で「老人保健制度に変わる新たな高齢者医療制度等の創設については、早急に検討し、平成14年度に必ず実施すること」という付帯決議を採択しております。


 また、民主党の2005年の衆院選挙マニフェストでは、「透明で独立性の高い新たな高齢者医療制度の創設を含む医療・医療保険制度の改革に取り組みます」と書かれております。


 老人保健制度の抜本改革に積極的だった民主党が、なぜこれまでの言動を覆されたのか理解に苦しみます。そのあたり、共同提出者の共産党としてどう考えているのか明確な説明をお願いしたいと思います。


 死が日常的に隣り合わせだった時代と違い、医学の進歩は不老長寿を身近にしてしまいました。そのことがもたらすさまざまな課題に私たちはむきあわねばなりません。今回の騒動が日本の医療にとって画期的な前進につながるものとなるかどうか、冷静で落ち着いた議論が必要となることを強調しまして私の質問を終わります。

(この項おわり)