「この選挙、わかりやすく言えば、無党派VS創価学会組織票の勝負です」―元NHK解説委員の河崎曽一郎氏が毎日新聞「倉重篤郎が聞く選択のヒント」26日付けの冒頭でこう述べていました。自民、公明の選挙協力も国政レベルで6度目。これがなければ、前回の衆院選における自民の圧勝もなかったはず。それが今回は一連の自民のエラーへの公明党の不満や、地方の自民党の集票構造に液状化がおこり変化の兆しが見える。人口の少ない町村部で無党派が増えており、自民党が予想以上に負けた場合の構造的背景をなす―大要こういった内容です。


 河崎さんの分析はわかりやすさに定評がありますが、この記事はどうでしょうか。「無党派は、浮動票とは違う。政治意識も投票意欲も高い層です。基本的には変化を求める」と、無党派を定義しています。すると、それと対峙するのは、政治意識も投票意欲も低く、基本的に安定を求める勢力ということになってしまいます。それでは、あまりにも無党派を褒めすぎ、政党支持層からの働きかけで支援をする人々をいい加減に扱いすぎていることになると思います。


 私は、無党派や浮動票をめぐって、どう自らに集票させるかの戦いに政党がしのぎを削っているのが選挙戦の実態だと思います。それに対して、どちらかといえば「乱」を好むメディアがあれこれ邪魔をしているというのが偽らざるところではないでしょうか。要するに、メディアVS政党宣伝力というのが選挙の構図なのです。冒頭の河崎さんの位置づけでは、公明党を支援してやろうと思い、立ち上がってくれた人々にいささか失礼です。