医師不足の問題こそこれからの日本を考える上での大変に重要な課題であるのに、それがどこかへ飛んでいってしまって、ひたすら「消えた年金記録」問題に参院選の話題が集中してしまっているのは本当に残念です―昨日、兵庫医大の講師で医学博士のFさんと懇談した際に、真っ先にこう言われた。私は、公明党が、今回のマニフェストのトップに医師不足問題とがん対策をとりあげ、ドクターヘリの導入に全力をあげていることをも訴えた。残念ながらご存知なかったようだが、私自身の厚生労働副大臣時代の経験を基に、今、医師の世界で起きている事態を述べる中で、ほぼ二人の認識は一致した。


 食道がんが専門の同先生は、最近リスクを伴う外科手術については若い医師たちが、取り組みを避ける傾向があることを指摘された。先年、慈恵医大青戸病院で起こった手術の失敗にみるように、各地でしばしば医療ミスが起きる。これに対して、検察の手が入ることに、医師たちの間で萎縮現象が着実に起きていることは事実だということを改めて認識した。虎ノ門病院の小松先生がその著「医療崩壊」などで明らかにされたように、立ち去り型サボタージュが医療の世界で起きていることは、動かし難い実態なのだ。


 20日午後4時からの神戸市兵庫区の湊川公園での太田昭宏党代表を迎えての講演会で、私はこのことを訴え、民主党の年金問題一辺倒の選挙戦略の非を糾弾した。太田代表も、この私の指摘を踏まえ、いかに公明党が医師不足問題に真剣に取り組んでいるかに触れて、一人の生命を大事にする未来に責任を持つ政治を強調された。一昨年の郵政解散で自民党が大勝したのを他山の石として、年金記録問題一本で勝利をかっさらおうとする民主党に、二匹目のどじょうがいないことを思い知らせたい。