総論賛成、各論反対―ごみ処理場から米軍基地の受け入れに至るまで、必要性は認めながらも、いざ自分の住む地域にこれら施設がやってくるのはご免蒙る。これが一般的な住民の気分というものだろう。米軍再編に伴う基地機能の移転、強化は、関係各自治体を激しく揺るがせている。


 今日17日に衆議院安全保障委員会では、北海道千歳市、山口県岩国市、沖縄県宜野湾市の三市長を参考人として招いて、意見表明を聴いたうえで、質疑をした。千歳市は、F15戦闘機などの訓練が、沖縄の米軍基地などから、航空自衛隊千歳基地に一部移転になる。同市長は、基地と共存する現実路線を取り、既に受け入れを表明している。岩国市は、米海兵隊岩国基地に、米海軍厚木基地の空母艦載機59機、米軍普天間飛行場の空中給油機12機が移転。また岩国から厚木へは低騒音のプロペラ機を中心に海上自衛隊の17機が移転。先に実施した住民投票では投票率60%を超え、90%が反対票となり、同市長は受け入れ反対を強調している。また、宜野湾市は、ヘリ基地の機能を辺野古の代替施設に移すほか、海兵隊のグアム移転、さらには空中給油機の機能を岩国に移転、緊急時の基地機能を宮崎県新田原飛行場に移転させる。同市長は、辺野古に新たな基地を作ることに強い反対の姿勢をしめしている。


 三者三様であるが、住民福祉の向上に向けての政府当局との話し合いが必要との観点から、私は、円満な受け入れのための条件を探るにはどうしたらいいかの質問を岩国市長に限定して行った。


 沖縄や厚木の基地負担軽減分を岩国がすんなりと受け入れるとは思っていなかったが、現実は思いの他に厳しいと実感。安倍首相を生み出した山口県だから、ここは我慢されるのかと思っていたら、さにあらず、とても受け入れられないという空気が強い。それから、当初政府が、岩国市側に渡すとしていた市庁舎建設にあたっての交付金は、負担増を受け入れないのなら、やらないというように事態は泥沼化。これは、まさにどっちもどっち。この問題が解決できぬようでは、安倍首相も市長も政治責任が問われるに違いない。