Christopher James Christie、Nimarata Nikki Haley 、Ronald Dion DeSantis、

Vivek Ganapathy Ramaswamy(左より)

 

 

 

 2024年米大統領選で共和党からの指名を目指す候補者が、

 

6日夜、アラバマ州タスカルーサで4回目の討論会に臨みました。

 

 

壇上に上がった候補者は、ニッキ・ヘイリー前サウスカロライナ州知事、

 

フロリダ州ロン・デサンティス知事、クリス・クリスティー前ニュージャージー州

 

知事、 実業家ビベック・ラマスワミ氏の4人。

 

 

 

 

 

 

2時間の討論時間の大半を互いの非難に費やしました。

 

 

候補者選びの初戦となるアイオワ州の党員集会が6週間後です。

 

候補者らは自らの政治信条を披瀝し、主要な相違点を探りました。

 

 

ラマスワミ氏がヘイリー氏を「口紅を塗ったディック・チェイニー」と評し、

 

クリスティー氏はラマスワミ氏を「知ったかぶり」と揶揄。

 

デサンティス氏はヘイリー氏に、「左派に追及されると必ず屈服する」と指摘。

 

ヘイリー氏は「注目されるのは最高」と反撃。

 

 

 

世論調査の支持率で優位に立つトランプ前大統領は、今回の討論会も欠席しました。

 

討論の大部分は候補者同士のぶつかり合いでした。

 

 

 

4回目の討論会でのポイント

 

討論開始から1時間は、ヘイリー氏に注目が集まりました。

 

デサンティス氏は、トランスジェンダーの人々に対して男女どちらのトイレの使用を

 

認めるべきかという議論を持ち込みました。

 

 

ラマスワミ氏は前回に続き、ヘイリー氏が米航空機大手ボーイングの取締役だった

 

ことに言及。ヘイリー氏がかつて知事を務めた州には、同社の大規模な製造工場が

 

あります。

 

 

複数回にわたり、デサンティス氏とラマスワミ氏はチームを組んでヘイリー氏に

 

対する批判を展開。

 

   

Reid Garrett Hoffman          Laurence Douglas Fink

 

ビジネス向けSNSのリンクトインの共同創設者、リード・ホフマン氏や、

 

資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)らから

 

資金協力を受けていると指摘。

 

元来民主党への寄付で知られるリード・ホフマン氏は、ヘイリー氏を支援する

 

特別政治活動委員会(スーパーPAC)に25万ドル(約3600万円)を寄付

 

しました。

 

 

 

ラマスワミ氏が掲げたメモ帳には、ヘイリー氏と汚職を結びつける主旨の文言が

 

書き込まれていました。

 

最近保守系団体からの支持も取り付けたヘイリー氏は、出所がどこであれ自

 

身に寄せられる助力は歓迎するとしつつ、それによって自らの政策が左右される

 

ことはないと強調。

 

「彼らは嫉妬しているだけ」

 

「自分たちだって、そうした人々からの支援を望んでいる」

 

と、ヘイリー氏は述べました。

 

 

 

クリスティー氏は、論敵たちを未熟で不快な、大統領職に就く準備ができていない

 

人物として描写してみせました。

 

デサンティス氏については、基本的な質問に答える気がない印象を植え付けました。

 

 

もし自分が大統領だったなら現在のパレスチナ自治区ガザ地区に米軍を派遣し、

 

イスラム組織ハマスに拘束された米国人の人質を救出するかとの質問が

 

デサンティス氏くると、そこへクリスティー氏が割り込みました。

 

同氏はデサンティス氏に向け、

 

「米国の大統領であれば、そうした質問に答えるかどうかを選ぶことはできない」

 

と告げました。

 

その後、トランプ氏が大統領職に適任だと思うかと問われたデサンティス氏が

 

明確な回答を避けると、クリスティー氏は、

 

「デサンティス氏は答えるのが怖いか、質問を聞いていないかのどちらかだ。

 

こんな質問に答えるのはわけない」

 

「私は単純な男だ。質問を聞けば、それに答える」と強調。

 

ラマスワミ氏に対しては、ウクライナとロシアの和平合意を巡る同氏の提案を批判。

 

そして、選挙運動中と討論会で発言内容が違うと非難し、

 

知識を自慢する態度も非常に不快だと指摘しました。

 

 

クリスティー氏はさらに、他の3人の候補者がトランプ氏に直接言及するのを

 

避けていると示唆。その理由は

 

”自分たちがトランプ氏の副大統領になるチャンスを失いたくないから、

 

もしくは28年の大統領選に向けた展望を描いているからだ”

 

と述べた。

 

その上でトランプ氏の存在を、「ハリー・ポッター」シリーズに登場する

 

「名前を言ってはいけない」悪役ヴォルデモートに形容。

 

討論が進むにつれて、他の候補者らは限定的ながらトランプ氏への批判を

 

口にしました。

 

ヘイリー氏は、トランプ氏の対中政策には厳しさが足りなかったと主張。

 

デサンティス氏はトランプ氏が16年大統領選で掲げた公約を守らず、南部国境の

 

壁の建設費をメキシコに支払わせていないと述べました。

 

 

しかし、終始反対の立場を表明し続けたのはクリスティー氏だけでした。

 

同氏は討論を締めくくる発言でトランプ氏について、重罪で有罪になるため

 

24年大統領選への立候補は認められなくなるだろうと述べました。

 

この発言には会場からブーイングが起きました。

 

クリスティー氏は「好きなだけブーイングすればいい。そうやって現実を否定し続け

 

ればいい。だが党として現実を否定するなら、我々はさらに4年間、

 

ジョー・バイデンを受け入れなくてはならなくなる」と警告。

 

 

デサンティス氏は、国内で文化戦争を引き起こしている2つの問題を

 

持ち出しました。

 

具体的には環境、社会、ガバナンスの課題に取り組む企業に投資する「ESG投資」

 

と、トランスジェンダーの権利。

 

デサンティス氏は18歳未満に対するジェンダー・アファーミング・ケア

 

(性自認を尊重する医療) に関して、ヘイリー氏の姿勢を批判。

 

自身はフロリダ州でそうしたケアを禁止する法案に取り組んでいるが、

 

ヘイリー氏はこれに反対していると主張。

 

ヘイリー氏はジェンダー・アファーミング・ケアについて、法律ではなく

 

当事者の子どもの両親が主導するべき問題だとの見解を表明。

 

その後デサンティス氏はラマスワミ氏と共に、ヘイリー氏に対する富裕層からの支援

 

に言及。それらの支援はESG投資の運動と関連したものだと主張。

 

「彼らは経済力にものを言わせ、左翼の課題をこの国に押し付けたがっている」

 

と述べました。

 

 

ラマスワミ氏は、極端な陰謀論を提唱する共和党の一派に向け、数多くの誤った、

 

挑発的な陰謀論を解き放ち受け入れることのできる唯一の候補者は自分だと

 

アピールしました。

 

そうした陰謀論に基づき、ラマスワミ氏はトランプ支持者が起こした21年1月6日

 

の連邦議会議事堂襲撃事件を「内部の者による犯行」と呼んでいます。

 

20年大統領選は、「ビッグテック(巨大IT企業群)に盗まれた」。

 

政府は9・11米同時多発テロへのサウジアラビアの関与について、「20年間うそ

 

をついている」。

 

「グレート・リプレースメント」理論は右翼の陰謀論ではなく、民主党の綱領の

 

基盤として表明されている。これは人種差別的な陰謀論で、非白人を西洋諸国に送り

 

込み、白人の有権者に取って代わらせることで政治的課題を達成する計画が存在。

 

米国にとっての最大の脅威は「ディープステート(影の政府)」であり、

 

「少なくともドナルド・トランプはそれと戦おうとしていた」。

 

「気候変動の課題はでっち上げだ」。

 

「新型コロナウイルスが悪かったと思うなら、この気候にまつわる課題の方が

 

格段に悪い。この新たな宗教に膝を屈してはならない」

 

「つまりそういうことだ。これは現代宗教の代用品に他ならない。我々は自らに

 

鞭を当て、現代の生活様式を失っている。気候という新たな神に屈服することで。

 

だが私が目を光らせていれば、そんな状況もいずれ終わりを迎えるだろう」

 

と、ラマスワミ氏は述べました。