Ya Ya (born Aug. 3, 2000, in Beijing)

 

 

 ジャイアントパンダの「Ya Ya 」が中国から米国に到着した2003年、

 

テネシー州のメンフィス国際空港には数百人が詰めかけ、北京からの親善大使を

 

拍手と歓声で出迎えました。

 

北京からメンフィスまでジャイアントパンダを運ぶフェデックスの専用機

「パンダエクスプレス」(2003年4月7日)

 

 

中国が米国の支持を得て世界貿易機関(WTO)加盟を果たした2年後、

 

米中関係は絶頂期にあり、両国は経済からテロ対策に至るまで、あらゆる分野で交流

 

を深めました。

 

 

歓迎するニクソン元米大統領夫人(右)(1972年4月20日、ワシントンの国立動物園)

 

 

あれから20年。26日に米国を離れて中国への帰途についたYa Yaは、

 

世界の超大国2国間の関係悪化の象徴となりました。

 

 

Ya Yaに別れを告げるため動物園には何百人もの人々が訪れました(8日、テネシー州・メンフィス動物園)

 

 

中国国営メディアによると、

 

Ya Yaは16時間の飛行を経て27日、フェデックスの専用機「パンダエクスプレス」

 

で上海に到着。

 

 

中国では3カ月にわたり、メンフィス動物園のYa Yaに対する扱いをめぐって

 

激しい論議が巻き起こりました。

 

この出来事は、米中間の対立の激しさを見せつけています。

 

 

22歳になったYa Yaに、丸々としてフワフワだった若いころの面影はありません。

 

最近の写真では瘦せ細り、ところどころ毛が抜けています。

 

 

中国ではYa Yaの状態にショックを受け、悲しむ人も多いのです。

 

適切な世話や治療が行われていないという意見もありますが、

 

メンフィス動物園は何度も否定してきました。

 

 

Ya Yaは20年の貸与期間が終了し、つがいのオスの「Le Le」と共に今年中国に返還

 

される予定でした。が、Le Leが今年2月、心疾患のため突然死。

 

それが、不信感に一層火を付けました。

 

 

中国の「パンダ外交」の一環として、2頭は友好の証しになるはずでした。

 

しかし中国国家主義派は、Ya Yaを「アメリカの中国に対するいじめと抑圧」の象徴

 

とみなしました。

 

「我が国の財産をあんな態度で扱うとは、中国に対するあからさまな挑発だ」

 

とSNSの微博に書き込むユーザーもいます。

 

 

 

オンライン署名サイトのchange.orgでは

 

2頭のパンダの返還を求める19万3000の署名が集まりました。

 

 

一方で、モスクワ動物園で楽しそうに遊ぶ2頭のパンダの動画も中国のSNSに

 

出回り、中国のパンダに対するロシアの待遇を絶賛する声が集まっています。

 

 

一見、ロシアのパンダの様子も中国国営メディアでも伝えられています。

 

中国のインターネットユーザーは、Ya Yaをできるだけ早く帰国させてほしいと訴え、

 

即時帰国を求めるオンライン署名活動をしたり、動物園のライブ中継でYa Yaの姿を

 

追ったりしていました。

 

米国在住の中国人は交代で同動物園を訪れてYa Yaの様子を伝えました。

 

 

Ya Yaは過去数週間、ウェイボーのトレンドで頻繁にトップに浮上。

 

そのたびに視聴回数が数億に達しました。

 

ニューヨークから上海に至るまで各地で表示された写真入りの屋外広告では、

 

「Ya Ya、帰国を待っています」というメッセージが流れました。

 

 

Ya Yaは米国入りした時と同様、米中関係の象徴になりました。

 

ただし今回は友好の証しではなく、増大する敵意と不審感の象徴として、

 

中国に帰国しました。