トランプ政権末期を描いた内幕本の内容をもとに、

 

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が越権行為に及んだとの主張がなされている

 

のを受け、国防総省やホワイトハウスがミリー氏の擁護に乗り出しました。

 

 

14日、ミリー氏は、米紙ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード、ロバート・コスタ両記者による

 

「Peril」の内容をめぐり批判の矢面に立たされました。

 

同書ではミリー氏が中国軍将官との電話で対中攻撃は検討していないと述べたこと、

 

トランプ大統領(当時)による危険な軍事攻撃の命令の可能性を制限しようとしたこと

 

が詳述されています。

 

 

メディアは14日、同書の来週の出版に先駆けてミリー氏の行動について報道。

 

トランプ氏やその協力者はミリー氏の辞任や反逆罪での裁判を求めるなど、

 

同氏への批判を強めています。

 

 

 

トランプ氏(左)とマーク・ミリー氏(2019年10月7日)

 

 

 

これに対しホワイトハウスは15日、ミリー氏を全面的に擁護しました。

 

サキ報道官は同氏を

 

「信義を重んじる男」

 

と呼び、

 

 

 

バイデン大統領は

 

「ミリー大将には大きな信頼を置いている」

 

と述べました。

 

 

 

トランプ政権でミリー氏と共に働いたボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)も

 

擁護に回りました。

 

ミリー氏の報道官は、同氏が適切に行動したとの声明を発表しています。

 

 

 

2019年12月、米メリーランド州アンドルーズ空軍基地にて

 

 

 

現旧の国防当局者は、ミリー氏が不適切に行動したとの見方に反論。

 

中国側との電話は統合参謀本部議長による他のハイレベル協議と同様の手続きに基づき、

 

国防総省の文民と協議して行われたと述べ、

 

ミリー氏が秘密裏に行動したとの批判を暗に退けました。

 

 

「Peril」によると、

 

ミリー氏は2回にわたり水面下で中国軍の李作成・連合参謀部参謀長に電話をかけました。

 

 

中国は米国が対中攻撃を仕掛けると見ていると示唆する情報があったためで、

 

ミリー氏は米国は攻撃実施を検討していないと伝えて李氏を安心させようと試みました。

 

 

同書によると、ミリー氏は10月30日の電話で

 

「攻撃する場合には、私が事前に電話する。奇襲攻撃にはならない」

 

などと述べています。

 

 

2回目の電話は1月8日で、同書によると、

 

ミリー氏は中国指導部が米議会議事堂襲撃に衝撃を受けていると知り、

 

李氏に対して

 

「不安定に見えるかもしれない。

 

だが、これこそ民主主義の本質だ。我々は100%安定している。

 

何も問題ないが、民主主義は時にずさんに見えることがある」

 

と述べました。

 

 

同書はまた、

 

ミリー氏が1月8日に国防総省の自室で開いた秘密会議についても詳述しています。

 

ミリー氏は会議で核兵器発射の手続きを確認し、

 

軍幹部に対して、命令を実行する場合には自分に相談する必要があると説明。

 

「何を言われようと、この手続きに従ってほしい。

 

私はこの手続きの一部だ」

 

と述べました。

 

 

 

国防総省のカービー報道官は、

 

ミリー氏の行動は核兵器の発射手順の検討で「完全に適切」であり、

 

同氏は大統領の軍事顧問として核兵器発射のあらゆる決定に

 

「密接に関与する」

 

と述べました。