怒りのエネルギー | Take it Easy

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三度の飯より旅好き、映画好き。
本と映画と旅行の話が半分、日々の徒然話が半分。
不定期にひっそり更新中です。

ここバングラデシュも最近めっきり涼しくなってきて、いよいよ本格的な冬到来!?

と思ったら、また暑くなったりして、しかも乾季で虫が増えて、毎日床の掃き掃除してます。

でも、涼しくなると、今度は水シャワーがしんどくなる。

毎回、お湯を沸かして、バケツに入れて、水と一緒に混ぜて、適度なお湯で水浴び。

けっこうめんどくさい。なので、暑いのがいいのか、涼しいのがいいのか、迷いどころだ。


最近は、母親から荷物が届いたので、ダッカに取りに行ったりしていた。

荷物の大半は本とたらこパスタ・めんたいこパスタのもと。

しかし、気付いたのだけど、任地でスパゲッティ売ってるのみたことない…。探さなくっちゃ。

読みたかった本がたくさん届いて、何から読もうかなーってワクワクする。



最近読んだ本の感想を覚書き程度に。



「肩越しの恋人」 唯川恵


軽いんだけど、エッジが効いてて面白かった。女の幸せの形も10人10色ってことかな。

未だに“婚活”とか言って、結婚が全てだと思ってる人は、この本を読んだらいいと思う。

女が女であることを楽しみながらも、強く逞しく生きる姿に共感。



「世界は使われなかった人生であふれてる」 沢木耕太郎


タイトルに惹かれて読んでみたら、なんと映画評でした。びっくり。

この本を読んで、日本に帰ってから見たい映画リストが増えた。作者の願い叶ったりだ。

沢木さんはあくまでも本業は作家・ライターであって、映画評論家ではありません。

この本も、沢木さんがある雑誌に連載していた映画評を1冊の本にまとめたもの。

だから、基本的にお勧めの映画ばかり。それがいい。どの映画も好意的に書かれてる。

はっきり言って、つまらない映画の批評ほどつまらないものはないのです。

誰にとってもメリットがない。それでも書かなきゃならない評論家の仕事ってしんどい。



「あこがれのまほうつかい」 さくらももこ


初めて読んださくらももこのエッセイ。読みやすく、笑える。ル・カインへの愛を感じる。

さくらももこには、“好きこそものの上手なれ”という言葉がぴったりだと思う。 

絵を描くこと、絵を見ること、可愛いモノを集めること。

理由なく、心惹かれるもの。ワクワクすること。自分の“好き”を大事にしようって思える本。



「となり町戦争」 川崎亜紀


地方自治体が戦争を日常業務のように扱う、というちょっとSFチックなお話。

“私たちの日常は誰かの犠牲のもとに成り立っている”、というのが作者のメッセージだ。

モチーフは面白いし、今の社会に対する作者の視点も理解できる。

でも、何かが足りない・・・。



最近の日本の若手小説家の本を読んで(といっても、そんなにたくさん読んでない)思う。

今の社会のここがおかしい、ここが危険だ、日本社会はこういう方向に向かっている、

今の若者はこういう理由でこういう感情を抱いてる、そういう分析と視点には共感する。

でも、そこに作者の怒り・憤り、そういう感情が見えない。

今の社会はこうですよ、と現実に対する分析を提示され、でもそこにあるべき感情がない。

別に、声高々に、「日本社会を変えたい!」とか、そんなことを言う必要はない。

でも、この社会がおかしい、不条理だ、と思うなら、その感情の一片でも感じさせてほしい。


今の若い人のクールな感覚、というのか、それが小説の世界にも反映されてる気がする。

こういう小説って時代性はあっても、将来的には残っていかないように思う。

正直、私にはちょっと物足りない。


そういう意味で、金城一紀の「GO」は面白かった。間違いなく、作者は怒ってる、憤ってる。

不条理を身を持って体験したことのある人間が持つ、怒りのエネルギーを感じる本だった。



不条理な世の中に対する怒り、それはいつの時代にも芸術を作り出すエネルギーになる。

不景気になるといい音楽が生まれる、とは誰が言ったか。でもロックとはそういう音楽だ。

ピカソだって、チャップリンだって、スタインベックだって、みんなどっかで怒ってた。

その感情こそが、いつの時代の人間にも響く、普遍的な作品を生み出すのだと思う。