昭和26年 高速機の強度と構造

山本峰雄

 

高速飛行の機体への影響

 

航空機の性能は、ジェットエンジンやロケットの成功によって、第二次大戦を境として格段の進歩を遂げた。英米では、ジェットエンジンの英国に於ける発明者であるフランク・ホイットルを、ライト兄弟に比してその功績をたたえている事は、その意味が如何に重大であるかを物語っているものといえよう。

しかしこの原動機に於ける革命は、空気力学、特に空気の圧縮性がものを言って来る高速に於ける空気力学や、構造、強度、材料の方面に於ける相伴った進歩が無ければ、高速機の製作にまで到達する事が出来なかったであろう。

先ず例を主翼にとって見よう。今日の高速ジェット機の大部分は主翼に後退角をつけて、空気の圧縮性の影響が起るのを遅らせ、また衝撃波の発生によって縦安定が悪くなることを防いでいるのであるが、これは高速、即ち音波の速度の附近では有効な手段に相違ないが、離陸着陸の際のような低速では翼端が先ず失速し、横方向の操縦が失われるなどの空気力学的欠点を伴って来る。このような欠点を補うために種々な方法が研究されているが、後退翼はこのような空気力学的欠点の外に、構造上及び性能上非常に大きな欠点を持っている。それは後退翼は一般の主翼の曲げモーメントが翼の捩れを誘い起し、特に翼端で前縁を下げる方向に大きく捩れることである。これは後に述べる補助翼反転の問題を解決することを更に困難にするのである。そしてこの主翼の捩れは、翼端の附近に於ける揚力を減少し、付根付近の揚力を増加し、翼にかかる曲げモーメントが軽減される。圧縮比の影響を遅らせるためには翼を前方に傾ける前進翼でも良い訳であるが、現在の高速機が後退翼を採用している一つの理由はこの点にある訳である。

高速機に於ける他の一つの構造上の問題は、高速に於ける空気抵抗を減らすために薄い翼断面を使っている事である。翼の強度を受持つ桁の曲げモーメントに対する抵抗力は、材料が同じであるとすれば、大体桁の高さの自乗に比例すると考えればよい。今日の高速ジェット機では、翼の付根の厚さが弦長の12パーセントという厚さが普通となった。

最近試験飛行を行い、やがて量産に入るノースロップF-89スコーピオンの如きは、翼の付根の厚さは8.5パーセント、翼端で7.5パーセントという薄翼を使っているし、ホーカーP1081ジェット戦闘機では10パーセントの厚さの翼を使っている。

翼の厚さを25パーセント減ずることによって衝撃波の現れる臨界マッハ数が12.5パーセント増加するというある典型的な例を引く迄もなく、翼を薄くする事は性能向上の見地から重要な事であるが、構造強度という点からは困難な問題を提供することは言うまでも無い。

この問題を解決するためには、多数の丈夫な桁を使ったり、または翼の外板を厚くしたりする必要がある。ボーイングB-47型ジェット爆撃機の如き大型(米国では中型爆撃機と呼んでいる)の高速機では、外板の厚さは付根で15.87ミリ、翼端で4.76ミリという厚さである。そしてこの外板は三種の厚さの板をミリングで削って、所要の厚さを与えるのである。一方に於て厚さの漸変する板の製造も行われ、昔我々が欲しいと考えて手に入らなかったものが実現している状態である。

高速機の翼断面は、このように薄くなったばかりでなく、終戦前我が国でも研三高速機に使用したいわゆる層流翼が量産機に使用され出した。層流翼は翼断面の一番厚い所を出来るだけ後方に持って行き、その形を適当にすることに依り、空気の粘性のために翼の表面に接して出来る境界層が、最大の厚さの附近まで乱れの無い層流となり、摩擦抵抗が著しく減少することを狙ったものである。

大戦中実用機に用いられた翼断面の大部分は、最大の厚さの位置が翼弦長の30パーセント付近にあって、翼表面の圧力は始めは急激に負になるが、それから急に圧力が上昇して境界層は乱流となり、摩擦抵抗が大きくなるようなものであったが、層流翼では圧力の分布は一様に近い。このような翼は、先端が尖り、前がやせた形であって、翼断面の中に含まれる面積も、その輪郭線の長さも短い。

今、翼に外板をはり、その外板で翼の捩れモーメントを受けるという、今日の普通の方法を使うとすれば、捩れ角はその外板の包む面積の自乗に反比例し、厚さに反比例し、輪郭線の長さに比例する。それであるから層流翼に於ては、捩れの剛さが非常に低下することとなるのである。

大戦前から研究が始められた層流翼が、最近まで一般的に高速機に普及しなかったのは、層流翼は外板の僅かの凹凸や波状の皺などに敏感であるためで、沈頭鋲の頭や外板の工作上の誤差などが非常に影響し、普通の工作では流れが乱され境界層は容易に乱流となり、折角の層流翼は名のみで、却って最大揚力係数が少なくて、着陸速度が大きいという固有の欠点のみが残る事となるのである。

例えばウエストランド・ワイバーン海軍襲撃戦闘機では、層流翼の表面は特殊の仕上げを行って、翼断面抵抗を著しく減じ、また無尾翼機の翼振れと振動を研究し、層流翼の飛行試験を行うために作られたアームストロング・ホイットワース52型無尾翼機の主翼外板と、その内部に取付けられた波板は、翼断面に合せてロールした後、特殊の治具で組立て、表面は1/20ミリの精度に仕上げられている。これによって、翼弦長の60パーセントまで層流境界層とする事が出来たと言われている。前に述べたB-47型爆撃機の場合にも厚い外板は先ずロールにかけて1/2ミリの精度で翼断面に合わせ、ロールを一回通す毎に表面を磨き、作業中は特殊の紙で表面を保護するという慎重な作業を行う。出来上った翼断面の寸度の誤差は1/10ミリ以下である。

高速機の着陸と関連して構造上の問題を提供するものは、着陸用フラップの問題であろう。特に後退翼では前述のように翼端失速が起る。着陸時の揚力を増し、翼端失速を防ぐために大戦前からある前縁隙間を用いたり、または大戦前に着想され、また飛行試験が行われた境界層吸込装置が使用され出した。前者は高速度に於ける空気抵抗が大きい欠点があるもので、将来の高速領域以上の飛行には不適当と思われるが、後者は最も有望な揚力増加装置である。昔は多量の空気を吸込むためのポンプの容量と重量が問題であったが、今日に於ては非常に多量の空気を吹込むジェットエンジンの空気取入口の負圧を利用出来るから、揚力増加の最も有望な手段である境界層吸込が簡単に出来ることとなった訳である。

アームストロング・ホイットワース52型無尾翼機では、この種の吸込装置が使われている。一方隙間フラップの設計も、最近は自然にこのような境界層の制御が行われるように進歩してきた。

 

飛行機構造の複雑化

 

高速では、後退翼の利点を用い、低速でその欠点を除くために後退角を無くすようにしようとする案は、アメリカのロッキードF-90型ジェット戦闘機の試作の際に考えられたが、このような案は筆者も戦争中考案したことがある。このような構造は機構と機体構造の複雑を招来することは言う迄もない。これと関連して着陸の際主翼の取付角を変化させようとする研究も行われている。

今日の高速機は主翼取付点が高速に適するように小さくなっているから、高揚力装置を使用して着陸するときは、尾部を下げて着陸する必要上、尾輪と主車輪を用いて接地し、速度を落した後に首輪と主車輪を用いて接地し、速度を落した後に首輪と主車輪を用いて滑走に移るという着陸方法がしばしば用いられる。このような着陸は機首を高くあげる結果となり視界を悪くし、着陸を困難なものにするので、主翼取付角を変化するか、落下傘を用いてその空気抵抗を利用して速度を落すかの何れかの方法を用いなければならない。これも将来の問題である。その必要度は前述の境界層吸込フラップの利用で幾分少なくはなっているが、全面的の解決を見た訳ではない。

水平安定板は既にその取付角を飛行中変化することが実現して、例えば米国のノースアメリカンF-86E型セイバー防空戦闘機では、水平安定板を動力で動かして取付角を変化するようになっており、英国のホーカーP1081型戦闘機の安定板も、飛行中に変化出来る装置を持っている。既にF-86E型の前身であるF-86A型機でも、電動で1秒間1度の割合で取付角が変化出来る装置がついていたが、F-86E型では、更にその装置を非可逆的(一定の角度を与えて止めるとそれがもとに戻らない)に改良し取付角変化の速度を早くし、且つ感度をよくしたものである。

このように安定板の角度を変化する装置が必要になったのは、言う迄もなく高速に於ける圧縮波の影響に依って、主翼の風圧分布が非常に変化し、そのために飛行機全体の継続モーメントが変化し、また主翼上の吹降しが変化するためであって、その変化を釣合わせるためには今までのような昇降舵では間に合わなくなったためである。

昇降舵や方向舵、或は補助翼などの操作も飛行機の高速化と重量の増加によって人力だけでは不充分になり、最近では戦闘機のような小型機に属するものまで動力作動装置をつけるようになっている。

この場合問題となるのは中継動力装置を使用すると操縦の「感」が無くなることである。つまり舵を大きく動かせば大きな力が手や足にかかるし、また速度が大きければ感じる力が大きくなるので操縦者はこの力の感じを頼りとして操縦をしている訳である。この感がなければ操縦は殆んど不可能に近い。また中継動力装置が故障を起したとき、直ちに人力操縦が出来なければならない。なお高速機では後に述べるように振動の問題が大きい問題で、舵をとった時風圧による振動に堪える必要があるから、中継操縦装置は非可逆的でなければならない。また操縦桿や踏棒を離すと中正の位置に戻り遊びがあってはならない訳である。

このような種々な要求を満たす中継操縦装置は、米国と英国で研究が進み、例えば英国ではフェアリー会社やオートモーティブ・プロダクツ会社の油圧式のものや、ホブソン会社の油圧ねじジャッキ式のものなどが現われている。

最近の高速機の機体もまた、主翼に劣らず複雑になっている。機体は与圧室装置、無線やレーダーの装備座席の射出装置など種々な装備のために複雑となっているが、特にジェットエンジンが胴体内に装備されるものはエンジンを取外せるようにしなければならないし、またジェットエンジンの発する高熱と後部の噴射筒の熱を受ける部分は、材料的に構造的に複雑となってきている。

 

剛性と振動の問題

 

高速を出す必要上翼が薄くなり、高速のために翼にかかる空気の力が大きくなり、更に前述したように後退角という構造上不利な形式を採用しなければならない高速機では、剛性や振動の問題が重要であり、多くの場合高速機の死命を制することとなるのは、当然のことである。

翼振れ即ちフラッターは、既に第一次大戦中に最初に起って、飛行機の設計者を悩ましたものである。この現象は、高速で主として主翼が空気力の作用によって振動を起し、それが急速に大きくなって、直ちに速度を落さないと、忽ちのうちに空中分解を起すような危険なものである。この振動は翼の曲げと捩りの相関連した振動であったり、またはそれらと同時に補助翼が振れる型式であったりするのが、何れも上に述べたような危険があるので、設計者は既に第二次大戦前に翼振れの限界速度の計算を行い、飛行機が達し得る最大速度以上に翼振れの限界速度が出るようにしていた。当時はこの二つの速度の間には充分な差を与えることが出来、充分な計算と実験を行えば翼振れを避けることが出来たのである。

しかし最近の高速度では、前述したような原因により、翼振れの限界速度を安全な程度に充分上げることが困難になって来た。特に圧縮の影響があらわれる速度以上では、風圧の分布は著しく変化し、その変化が一定の規則正しいものではなく、飛行機の速度と姿勢の変化に応じて鋭敏に変化し、操縦も困難になる位であるから、翼振れのように僅かの衝撃で発生し得る性質を持った振動は誘起され易い。

今日のF-86やMIG-15型等の戦闘機で、その性能が650哩/時などと称されているが、その性能を十分発揮することがなかなか難しいと言われている一つの原因はこの点にある。低い速度から段々速度をあげて行き、圧縮性の影響があらわれる付近からは翼は微少な間かつ的な振動を起し(これは一般に翼振れの前兆である)、それを通りこすと急に翼振れに入り、操縦を誤ると空中分解を起すというのが現状である。

次に、補動翼反転といわれる現象もまた、最近の高速機では大きな問題となっている。第二次大戦前には、勿論この問題は既に取上げられていて、我が国でもこの問題は二三の飛行機で起った。飛行機の主翼は飛行中の空気力の作用に依って曲がったり捩れたりするものであるが、この曲りや捩りに依って、主翼の空気力学的特性は変化する。

例えば空気力で翼が撓めば、翼の上反角が増加したと同様になって飛行機の安定が変化し、また翼が捩れると、翼に捩下げや捩上げをつけたのと同じ効き目が出て、揚力や抗力が変化する。飛行機の速度が小さい時、この変化も小さくて問題にならないが、高速となり翼の曲りや捩れが大きくなると、その影響は急に大きくなる。即ち主翼の剛性が小さくなると、色々な影響があらわれてくる訳である。

例えば、今捩れの剛性が小さい翼、即ち捩れに弱い翼の後方についた補助翼を下方に動かしたとすると、このために風圧の中心は後方に移るから、翼は前縁を下げる方向に捩れる。補助翼を下に動かすのは、それに依って揚力を増し、飛行機を縦軸のまわりに回転させるためであるが、主翼が丈夫に出来ていれば、翼は捩れないから充分な揚力を生ずるが、翼が捩れに弱いと、補助翼を下げたために主翼の迎角は減るから、補助翼の効きは悪くなる。効きが悪くなる程度は、翼の捩れ剛性と速度によるのであって、速度が速くなればその自乗に比例して空気力は大きくなるから、効きはますます悪くなる。かくて速力が増加して行くと、遂には補助翼を動かしても全然効かなくなる。更にその範囲を越すと補助翼が逆に効き出すことになる訳である。これを補助翼の反転というのである。

これと全く同じ現象は方向舵や昇降舵でも起る。これは胴体や安定板の剛性が低く、速度が高い場合であるが、この方は補助翼の如く起り易くはないが、起る可能性は特に高速機に於て多いのである。

最近の高速機の場合のように、後退角をつけた場合には、前に述べたように、曲げモーメントにより捩れが誘起されるから、補助翼反転の限界速度は低くなり、補助翼反転を起し易くなる。そしてこの限界速度は後退角が大きい程低くなる。

高速で補助翼の効きが悪くなるもう一つの原因は、マッハ数の影響であってその影響は特に翼の剛性が低い場合に著しい。

この外、とくに主翼の捩れ剛性が低いために起る各種の問題があって、高速機の設計では常に悩みの種となっているのである。

 

チタニウムの出現

 

読者諸君の多くは「月世界征服」という映画で、設計者が月世界探検のロケット機をチタニウムで作ろうと提案するする場面を覚えておられるであろう。

前に述べたように、最近高速機では、剛性という問題が重要となって来ていて、20年位前のように単に強さのみが問題とされた時代と、全く様子が変って来たのである。

飛行機の発達の始めには、我々は木材を用いていた。木材はヤング率が極めて小さい。ヤング率というのは、材料を引張った時にもとの長さの2倍の長さとなるまで引張った時に加えなければならない力を表す数である。勿論ゴムのようなものを除いて2倍に引張るまでには、大抵の材料は切れてしまうのであるが、この数は材料の剛性をあらわす目安となるのである。

ジュラルミンは飛行機用木材の7倍位の大きさのヤング率を持っており、強度も遥かに強くて軟鋼と同じ位であるが、比重は鋼の36パーセントに過ぎないので飛行機の構造用材料として非常に重要な役割を果したのであるが、その後飛行機の性能が進歩するにつれてジュラルミンでは重量が重くなるので、更に丈夫な超ジュラルミンが生れ、更に我が国では戦争前に超々ジュラルミンが出来て、強さはジュラルミンに比して25パーセント以上高くなった。米国でも75STと呼ばれる超々ジュラルミンが作られている。これらの超々ジュラルミンによって、今日の高速機が比較的に重量が増さないで作り得ることになったのであるが、ジュラルミンも超ジュラルミンも、また超々ジュラルミンも、比重が同じである代りに、ヤング率も殆んど同じである所に大きな問題が起って来る。

例えば、超々ジュラルミンで主翼を作った場合には、ジュラルミンの場合よりずっと薄い材料で足りるから軽く出来るのであるが、翼の撓みはそれに比例して増加する。これは曲げの撓みはヤング率に反比例するからである。そこで剛性の不足という問題が起って来る。捩れの剛性をあらわす弾性係数はヤング率と一定の関係を持っているから、上に述べたことは、そのまま捩れの剛性についても当てはまることである。

そこで飛行機が段々高速になると共に、何か鋼のように重くなく、ヤング率も鋼のようにジュラルミン又は超々ジュラルミンの倍3倍というような高いものでなくて、少なくともジュラルミン系統より更に高く、又強さも大きいものはないかと研究が始められた訳である。その研究の対象となったのは、チタニウム及びチタニウム合金であった。チタニウムは元来地殻の中に多分に含まれている元素で、今世紀の始めハンダーに依って始めて充分な純度の物が得られ、その後精錬の研究が行われていたが、最近航空機の上のような要求に依って研究が進み、特にチタニウムの融点が摂1720°比という高温であるため、チタニウムをその合金は高温に耐える筈であるから、特にジェットエンジンやジェット機の胴体のような熱を受ける部分の構造材料として適当することが予想され、またその後の研究で証明されて近年になって急に注目されるようになった訳である。

この精錬は、非常に手数と費用を要し、また含有量の多い鉱石は米国のネバダ州とかカナダ等の英領にあるため、米、英、豪で主として研究が行われている。

チタニウム比重は4.5で丁度鋼の7.8とアルミニウム合金の2.8の中間位の値であり、ヤング率もアルミニウム合金の700000㎏/平方㎝と鋼の2100000㎏/平方㎝の中間で1050000㎏/平方㎝であり、引張の破壊強度は9100㎏/平方㎝で、ジュラルミンの4000㎏/平方㎝、超々ジュラルミンの5000㎏/平方㎝、ステンレス鋼の12000㎏/平方㎝に比較して、比重の割合に強度が最も大きいので、高速機用材料として非常に有望である。

米国では、既にステンレス鋼を凌ぐ強度を持ったチタニウム合金が出来、防火壁、導管等に使用され、また超音誘導弾の主翼やジェット戦闘機の胴体後部に使われている。

将来飛行機が更に高速となり、機体表面の摩擦熱が問題となれば、チタニウム合金の用途は更に広くなると共に、前に述べたような高速機の胴体の問題を解決する可能性がある。

しかしチタニウム及びその合金は、現在のところ板曲げがジュラルミンのように容易でなく、押出材や引抜等の工作が困難であって、なお改良の余地がある。

一方チタニウムをステンレス鋼に加えジェットエンジンの耐熱性を要求される部分に用いたり、または軽合金にチタニウムを加えたりして、その用途は益々増加している。

高速機の材料は、チタニウムに多大の希望がかけられていることは上述の通りであるが、ステンレス鋼やマグネシウム合金や合成樹脂の使用も、戦後の高速機に於て、益々拡張されていることは忘れてはならない点である。