休みの日にもあまり朝寝をしないのは昼寝を満喫するためだ。

なんてことを誰かがどこかで言っていたような気がする。

 

アラームをかけずに起きてトーストとインスタントのコーンスープで朝食をとる。顔も洗わず着替えもせずに。

 

朝のワイドショーは芸人と女優の電撃結婚を報じている。

その後に控えているニュースに移る時間を少しでも後にしたいのかなと勘繰ってしまいそうになったのは僕だけではないはずだ。

 

そりゃあ悲しいニュースよりハッピーな話題のほうがいい。

この時間なら尚更のことだ。

 

妻は買い出しに行った。

 

何もしないし何処にも行かないから服を着替える必要もないのだけれど、先週買ったばかりの新しいジーパンが僕を呼んでいる。

 

真っ新なゴワゴワのジーパンを穿いて10年以上着続けているクタクタの杢グレーのTシャツを着る。靴下は履かない。

 


コーヒー焙煎人が書いた短編小説集を開く。

10編目に収められた表題作から読んでみる。

 

それは高校時代に楽しみしていた佐野元春の新譜を買った夜にその封を開けてCDラジカセにセットして1曲目の「ミスター・アウトサイド」をとばして2曲目のタイトル曲「SWEET16」から聴き始めたあの時の感覚にどこか似ているかもしれない。

 

ゴロゴロしながら少し読んでウトウトと少し眠ってを繰り返す。

 

iPhoneは充電器に挿したまま放ったらかしでパソコンもシャットダウンしたままだ。

 

そんな昼下がり。

 

そう言えば、ふと思い立って冬の間お世話になったスウェットシャツを畳み直して片付けた。

 

3時のおやつの時間だ。

妻が焼いたスコーンを1つペットボトルの「午後の紅茶」を飲みながら試食という名目で食す。

2年前に比べると随分と美味しくなったような気がする。そんなことをいちいち僕は口にはしないけど。

 

扇風機から送られてくる風は夕方になるとまだ少し冷たく感じる。どうやらまだ夏ではないみたいだ。

 

18時。

今日は一日パソコンにも触れないつもりだったけれど無性に何かを書きたくなった。

そして今キーボードを叩いている。

 

大した意味のない言葉をただ並べているだけだけど何故だかその言葉が次々と溢れてくる。

 

いい本と出会った日には往々にしてこういうことが起きる。

 

そろそろ夕飯の時間だ。

 

真っ新なゴワゴワのジーパンは少しだけやわらかくなった。