大きなバッグが一つ残されていた。

ソファーの陰に隠れるようにして。

 

外国人の家族4人。

朝、アカイトコーヒーでエリアマップを片手に朝食をとりながら談笑して出発。

彼らが向かったのは、美術館があるベネッセエリアや家プロジェクトの本村エリア。

 

 

外国人の方々と触れ合いながら僕がいつも感じるのは、

彼らの時間の使い方というかその場その場での楽しみ方というかそんなことのうまさ。

 

仮に僕が出掛けた先で何か忘れ物をしたならば、

それが気になって、それを探して、その先の予定なんて後回しにしてしまうことだろう。

 

彼らは僕とは違う。

あんな大きなバッグだから、それを置き忘れたことに気づいていないはずはないのだけれど彼らがアカイトコーヒーに戻ってくることも電話やメールが届くこともしばらくの間はなかった。

 

夕方4時過ぎ。

彼らはアカイトコーヒーに戻って来た。

そして昼過ぎから降り出した雨にカッパを羽織っていてもブロンドの髪は少し濡れてしまった彼は言った。

 

「マイ グリーンバッグ ココ二アリマスカ?」

 

この彼らの行動が正しいか?間違いか?それを語るのは野暮な話しだ。

 

結果として、予定通りに直島を散策して一日を過ごして帰りのフェリーに乗る前にアカイトコーヒーに帰って来た。

忘れ物をしてもしていなくても彼らの一日は予定通りに進んだということだ。

 

 

仮に僕なら、

忘れ物を探したり、Uターンしたりすることで行きたかった場所の一つや二つをあきらめることになったことだろう。

 

もう一度言うけど、

これが正しいか?間違いか?ということを語るつもりはない。

 

ただ一つだけ言える事は、

「アリガトゴザマスタ!」と言って店を出た彼と僕は笑顔で手を振ってわかれたということだ。