人に思いを伝えるのは難しい。

 

素直になれと言われたし、わがままになれと言われたけども、そんな事したら相手が傷つく。

 

相手が傷つくのだったら、自分が傷ついた方がいい。精神的な苦痛は、時間が経てば掠れるから。

 

「よーこちゃんって、人に興味がないよね。」

 

多分、相手は悪気がなくて言ってきている、どうしてそう思われるんだろう。

 

「もし、ほんとに人間に興味がないなら、やよいと話してないと思うけど、どしたの?」

 

これが精一杯の回答だ。

 

「いや、なんとなく。」

 

「ごめん。私目つき悪いし、学校にあんまり来ないから、なんか、迷惑だったら言ってね。」

大事な友達を傷つけたくない。

 

「だから、なんでそういう風に言うの?」

 

ちっ。いくらやよいでも、こっちが下出にでてるのになんだよ。機嫌悪いのか。

 

「何が嫌なのかは、言ってくれないと判らないよ。」

 

「だから、そういう態度だよ。」

 

ハートブレイク。

 

何か、最近傷つけるようなこと言ったか。

 

そういえば、最後にはよーちゃんは人に興味がないんだよって言われたけど、どういうことなんだろう。

 

人に興味がなければ、女子高にせっせと通うこともないし、好きだからしゃべりかけるのに、なんか勘違いされているな。

 

この勘違いをどう克服するか、ネットで調べてみた。

 

よく解らない。何で授業の休憩中に一緒にトイレに行く必要がある。

 

食販に行く前に、コンビニでパンでも買えば時間の短縮になるだろ。

 

ボールペンの一つにしても、値段が高い構内よりも、文房具屋さんがいい。

 

しかも、私は間に合っているのになぜ誘う。

 

よく解らない。

 

私のお昼ご飯は、ゆで卵2個と、塩がアルミホイルに包まれているもので、5分あれば食事が終わる。

 

「よーちゃん。またこんなとこにいる。」

 

ベランダで日向ぼっこをしている私に、みさは話しかけてきた。みさは学級委員長で顔も可愛い。

 

「みさ。」

 

「ごめん。なんかもしかして、いつも遅刻する私の事言われた?ごめんね。」

 

何だか知らないが出勤時刻は電車内で汗をかく。でも、皆信じてくれない。

 

「そうじゃなくて、先生たち心配しているよ。」

 

よーちゃん。ちゃんとやれば、この間の試験もいい成績だったのに。

 

「ほら。うち貧乏だから、バイトしないといけないんだよね。それよりみさ、この間ベランダでタバコ吸っていたの先生に言ったっていうの本当?」

 

全然、学校に来ていないようちゃんにまで知られているなんて。

 

「あ。いや。言いたくなかったらいいんだけど、委員長だしね、立場あるしね、だけどあまり先生と仲良すぎると疑う人もいるかもと。」

 

何を言っているんだ私。自分の事で精一杯なのに、ほっとけ。

 

「よーちゃん。ありがとう。」

 

なんか、涙が出てきた。

 

「ごめん。傷つけるようなこと言った?ごめんね。」

 

わわわ。女の子泣かしちゃったよ。何で泣いているのか解らないよ。

 

しかも、教室にはみさがちくった子たちがいるし。

 

何で、この子は一緒に私の事をチクらなかったんだ。

 

「ちっ。トイレ行くよ。みさ」

 

「よーちゃん。そいつ何処連れて行くの?」

 

珍しくよーちゃんが誰かと行動している。

 

「今、しばいたから、ちょっと、みさとトイレに行ってくる」

 

「はぁ?何言っているの?よーちゃんマジ意味不明。」

 

「ごめん。地球外生命体だから。でも、これだけ泣いてるから、許してよ。行くよ、みさ。」

 

あーあ。何でこんなになっちゃうんだろう、みさはみさで悪いことを見つけたら先生に言わなければいけない立場で、

 

私は、見つかったやつが悪いと思う。

 

「ちょっと、よーちゃん!」

 

教室の扉を閉めた。

 

ここまでくれば大丈夫だろう。

 

1学年からは遠い講堂のトイレに来ている。

 

「みさ。大丈夫?」

 

「うん。」

 

「ごめん。私、あまり早く学校に来れないから毎日は守ってやれないけど、困ったことがあったら言ってね。」

 

もう、自分が何を言っているのか分からない、ヒーロー気取りか。

 

「ごめん。私あの時ようちゃんがベランダにいることを、先生に言ったんだ。」

 

もう、嘘は付けない。

 

「そうなんだ。別にいいよ。委員長なんだからしょうがないでしょ。」

 

「ごめんなさい。」

 

なぜ、そんなに泣く。これじゃあ、私が虐めているみたいじゃないか。

 

「みさ。いいから。自分がしていること間違ってないと思うよ。」

 

なんで、チクられた相手にこんなに励ましの言葉をかけるのか。

 

しかも、泣き出す。

 

女は大変だ。

 

そろそろ、昼休みの時間が終わる、教室に帰らなければ。

 

教室後方ブロックの8名ぐらいの女子視線を考えると、教室に帰るのが怖い。

 

ギリギリの時刻で、昼休みの予鈴とともにみさと到着すると、皆睨んでる。

 

何だ、私は悪いことはしていない、ただ泣いてしまってみさをトイレに連れて行っただけだ。

 

顔が青くなりながらも席に着くが、先日のバイトの残業の為、授業は昼寝する。