貨物車両運転手の長時間労働禁止によって物流が停滞
→3点の緊急支援策(出所:首相官邸)
「物流2024年問題」が、報道されるようになってきました。
これは、貨物車両運転手の長時間労働が、来年度から法律で禁止されることになり、このままでは物流が滞ることが予想され、経済や暮らしに大きな影響が出かねない状況が必至だからです。
既に、私も所属する自民党物流調査会において、議論を行い、政府に対して提言を出しています。
それを受けて、政府において、先週10月6日(金)関係閣僚会議が開催され、緊急包括政策がまとまりました。
その実現には、国民の理解と協力が何よりも重要です。送料は無料ではありません。身近な所、例えば宅配便の再配達をなくすこと等は、すぐできることだと思います。ご協力の程をお願い致します。
その施策概要は以下です。
1.物流の効率化
○即効性のある設備投資・物流DXの推進
・物流事業者や荷主企業の物流施設の自動化・機械化の推進、効率化・省人化やドローンを用いた配送により人手不足へ対応
・港湾物流効率化に向けた「ヒトを支援するAIターミナル」の深化や港湾物流手続等を電子化する「サイバーポート」を推進等
・高速道路での自動運転トラックを対象とした路車協調システム等の実証実験等
○モーダルシフトの推進
・鉄道(コンテナ貨物)、内航(フェリー・RORO船等)の輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増
・31ftコンテナの利用拡大を優先的に促進しつつ、中長期的に40ftコンテナの利用拡大も促進
○トラック運転手の労働負担の軽減、担い手の多様化の推進
・荷役作業の負担軽減や輸送効率化に資する機器・システムの導入等により、快適で働きやすい職場環境の整備を促進
・労働生産性の向上に資する車両を運転するための免許の取得等のトラック運転手のスキルアップを支援
○物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援
・農産品等の流通網の強化(中継輸送等の推進)
・物流施設の非常用電源設備の導入促進等による物流施設の災害対応能力の強化等の推進
・モーダルシフト等に対応するための港湾施設の整備等を推進
・高規格道路整備や渋滞対策、IC・空港・港湾等へのアクセス道路の整備に対する支援による物流ネットワークの強化
・トラックドライバーの確実な休憩機会の確保のため、SA・PAにおける大型車駐車マスの拡充や駐車マス予約制度の導入などの取り組みの推進
○標準仕様のパレット導入や物流データの標準化・連携の促進
○燃油価格高騰等を踏まえた物流GXの推進(物流拠点の脱炭素化、車両のEV化等)
○高速道路料金の大口・多頻度割引の拡充措置の継続
○道路情報の電子化の推進等による特殊車両通行制度の利便性向上
2.荷主・消費者の行動変容
○宅配の再配達率を半減する緊急的な取組
・ポイント還元を通じ、コンビニ受取等柔軟な受取方法やゆとりを持った配送日時の指定等を促す仕組みの社会実装に向けた実証事業を実施
○政府広報やメディアを通じた意識改革・行動変容の促進強化
3.商慣行の見直し
○トラックGメンによる荷主・元請事業者の監視体制の強化 (「集中監視月間」(11~12月)の創設)
・荷主による違反原因行為の調査を踏まえた「要請」等の集中実施、国土交通省及び荷主所管・法執行行政機関による連携強化
○現下の物価動向の反映や荷待ち・荷役の対価等の加算による「標準的な運賃」の引き上げ(年内
に対応予定)
○適正な運賃の収受、賃上げ等に向け、次期通常国会での法制化を推進
・大手荷主・物流事業者の荷待ちや荷役時間の短縮に向けた計画作成の義務付け、主務大臣による指導・勧告・命令等
・大手荷主に対する物流経営責任者の選任の義務付け
・トラック事業における多重下請け構造の是正に向け下請状況を明らかにする実運送体制管理簿の作成、契約時の(電子)書面交付の義務付け