92()は、今治市へ出張しました。わが国は海洋立国であり、その中で愛媛県今治市は、瀬戸内海の来島海峡の地の利を生かし、村上水軍の伝統もあり、海運・造船業が発達し、日本一の海事都市です。海洋教育も推進しており、実情を聞かせて頂き、全国のモデルとして普及したいと考えています。

・造船業14社 国内シェア19

・海運業 外航約70社 内航約200社 今治オーナーが国内外の37%所有

・舶用工業 約160社 

 

それ以外にも、世界初の三連吊橋の来島海峡大橋(しまなみ海道)、生産日本一の「今治タオル」、CMでお馴染みの「伯方の塩」、ゆるキャラグランプリで一位になった「いまばりバリィさん」もあります。

 http://www.barysan.net/index.html

 

●今治市の海洋教育

 

今治市教育委員会と意見交換させて頂きました。今治市では、日本一の海事都市に相応しい海洋教育を行いたいと、小学校34年生の社会科学習のてびき「今治のくらし」を作成し、その中で10ページに渡って、造船所の工程や関連する工業、海運について学んでいます。また、近くに造船所があることから、進水式には市内の小中学生が参加し、引率教師も講義を受け、ともに工場を見学しています。昨年度一年間で282,312名の子供たちが、間近に船を見学しました。さらに、2年に一度開催される今治海事博覧会「バリシップ」では、子供たちだけはなく一般の方も工場や船の見学や洋上クルーズも体験できます。海事関係に進学や就職した先輩が母校を訪問しての講話も実施しているとのことでした。

 

課題は、体系的な取組みをどう推進するかとのことでした。私は、今後国全体の学習指導要領の見直しや、国土交通省が来年度概算要求で盛り込んだ「ニッポン学びの海プラットフォーム」実現に向けてのモデル地区事業、先月山形県南陽市で開催された中学生対象のキャリア教育「海の仕事セミナー」等について説明をさせて頂きました。

 

●スーパープロフェッショナルハイスクール・今治工業高校

 今治工業

次に、愛媛県立今治工業高校を訪問しました。今年4月から新たに機械造船科が開設されて、1期生40名が3年間で造船の基礎を学ぼうとしています。そして、私が提案して実現することができたのですが、文部科学省が直接認定し国費支援できるスーパープロフェッショナルハイスクールにも選ばれました。校長先生や県教委から説明を受け、「匠の技継承講座」と題した造船所のベテラン社員から直接ガス切断の基礎を学ぶ実習を視察させて頂きました。筆を使っての事前訓練は、興味深いものがありました。

http://imabari-th.esnet.ed.jp/cms/

 

世界一の造船大国であったわが国では、造船を学ぶことができる高校が以前全国で20校もあったと聞きました。それが、中韓に追い抜かれ、造船不況も相まって、山口県立下関中央工業、高知県立須崎工業、長崎県立長崎工業の3校まで減少してしまいました。近年、造船不況を乗り越え、円高是正もあり、造船業は復活の兆しを見せ始めています。人材の高齢化もあり、愛媛県では新たに日本一の造船都市今治市内にある工業高校に造船科を新設し、人材育成強化に乗り出しのです。来年2月には、新たな実習棟が完成すると言います。

 

この動きに刺激されて、隣県の香川県でも県立多度津高校に、来年度から造船コースを新設されると報道されています。岡山県や広島県にも同様の動きがあると聞きました。かつての造船大国を取り戻すためにも、若年者の人材育成は欠かすことができません。引続き見守りつつ、支援をしていきたいと思います。

 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO06222300Y6A810C1LA0000/

 

 造船を学ぶことができる大学は国内に8大学あります。東大、横浜国大、東海大、大阪大、大阪府立大、広島大、九州大、長崎総合科学大です。ただし、大学改革の中で、造船学科がなくなり、教員や研究室が減少してしまいました。それに対応して、造船企業による寄附講座の開設や共同研究等が行われていると言われています。以前、九大の教授から深刻な若手研究員や院生の不足によって造船学の危機の訴えを聞きました。国交省と文科省の連携を強化して、対応を図っていきたいと思います。

 

●造船所の視察

 新来島どっく

今治工業高校の視察の後には、株式会社新来島どっくの大西工場を視察させて頂きました。新来島どっくグループは明治35(1902)年創業であり、グループ全体で年間約40隻建造しており、多種多様な船を造り、高付加価値船である自動車運搬船やケミカルタンカーでは、世界一の建造実績を誇っています。主力造船所が、今治市の大西工場です。364万平米あり、東京ドーム約8個分の広さがあります。昭和43(1968)年から開設されて、グループ会社社員を含めて1500名が働いているとのことです。3つのドックに、ばら積み運搬船(バルクキャリア)、化学製品運搬船(ケミカルタンカー)、自動車運搬船が建造されていました。工場内まで案内して頂きましたが、その大きさにただただ驚きました。

 http://www.skdy.co.jp/

 

船は注文生産であり、引き合いから始まり一つ一つの工程を経て、ドックでは4か月程で建造されるそうですが、実際に製品として出来上がるまでには短くても2年もの期間を要するとのことでした。

建造工程は、顧客からの①引き合い、②仕様打ち合わせ・契約、③性能設計、模型での水槽試験、④基本設計、⑤詳細設計、⑥生産設計、⑦資材注文、⑧生産計画、➈切断・加工、鉄板を加熱して曲線状に曲げるぎょう鉄は、機械化は難しく、手作業となります。⑩組み立て、⑪艤装(ぎそう)品取り付け、⑫ブロック搭載、⑬進水、⑭岸壁工事、⑮試運転、⑯引き渡しとなります。

 

工場内の一角に、トレーニングセンターがありました。ここは、「今治市造船技術センター」の研修で使用されている場所です。同センターは、熟練技能者の高齢化や若年労働者の離職などによる技能者の人材不足という問題の対応策の一つとして、平成17年に発足しました。今治市内の造船会社や舶用企業で構成されており、各社が現役の技能者を無償で講師として派遣し、会社の垣根を超え、地域を挙げて次世代の人材育成に共通で取り組んでいるのです。これまでに新入社員対象の3か月の初級研修と入社後5年から10年の中級研修を合わせて、1千人以上の研修生を送り出しています。また、昨年からは「造船技能コンクール」と「技能検定」が始まりました。各造船会社の代表が、日頃の知識・経験・技術を活かした熱戦を繰り広げています。このような同様の取組は、今治のみならず、他の造船所の拠点地区、横浜、相生、因島、大分、長崎でも行われていると言います。

 

 高校や大学での養成の強化とともに、入社した後も研修を充実していかなければ熟練した知識技能を継承発展させていくことはできません。引続き支援をしっかりしていきたいと思います。

 

●船乗りになるには?

 

造船の仕事以外に、海運等の船に乗る仕事があります。船乗りになるには、海技士という国家資格が必要です。海技士には、航海士と機関士、通信士があります。海技士資格を取得するためには、一定期間、実際に船に乗って運航や実習に従事した経験(乗船履歴)を積み、国家試験(学科試験と身体検査)に合格する必要があります。

 

外航船員になるためには、中学卒業後に商船高等専門学校(全国5校)に進学するか、高校卒業後に大学(東京海洋大学または神戸大学)か、2つの道があります。乗船実習があり、卒業すると3級海技士の海技士国家試験を筆記試験免除で受験することができます。

 

内航船員になるためには、中学校卒業後に海上技術学校(本科4校)に進学する道と高等学校卒業後に海上技術短期大学校(専修科全国3校)に進学する道があります。乗船実習があり、卒業すると4級海技士の海技士国家試験を筆記試験免除で受験することができます。

(独法)海技教育機構 海技学校4校 海技短大3校 海技大学校1

http://www.jmets.ac.jp/

 

●国立波方海上技術短期大学校を視察 校訓は「魂知和」

 

今治市には、高卒後に内航船員になるための全国3校の内の1校、国立波方海上技術短期大学校があります。また、隣接して外航船員になれる国立弓削商船高等専門学校もあります。時間の関係もあり、私は波方海技短大を視察させて頂きました。

 

同短大は、昭和43年に開校し、入学定員90名で、全寮制で2年間海技士4級を目指して、座学と乗船実習に励みます。校訓は「魂知和」(こんちわ)です。中々いいですね。10年前までは定員ギリギリでしたが、近年は倍率が上がり、4倍前後の狭き門となっています。就職先は内航船員で100%の就職率を誇っています。学生募集では、西日本全域の高校500校以上を職員が分担して訪問しているそうです。海事広報活動としては、地域のイベントに参加したり、依頼されて図書館の小学生と保護者対象の社会講座で話をしているとのことでした。今後、小中高校の学校への先輩訪問やキャリア教育、土曜日の学習活動、総合学習の時間等への支援をお願いしたいと思います。

 http://www.namikata.mtea.ac.jp/

 

慌ただしい中、視察の対応をして頂いた関係者には、心より御礼を申し上げます。

 

今後も「国づくり、地域づくりは、人づくから」をモットーに、全身全霊で頑張ります。

 

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●熊本大地震の被災者支援を

 

熊本地震の被災者の方々には、心よりお見舞いを申し上げます。

政府では、被災者支援のための情報提供を行っています。

http://www.kantei.go.jp/jp/headline/saigai/kumamoto_hisai.html

 

 自民党本部でも義援金を募集し、ご協力を頂き、3千万円以上を赤十字を通じて、被災地支援に役立てています。

 https://www.jimin.jp/news/activities/132008.html

 

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●自民党党員募集

 

 自民党では党員を募集しております。2年以上党歴のある方には、自民党総裁選挙での投票権を持つことができます。ぜひ事務所までご連絡下さい。

 

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