きっと、何百年…、いや、何十年前の人でさえ、想像していなかっただろう…。
まさか、世界がこんな風になるなんて…。


朝、目覚まし時計を止め、私は、大きな欠伸を1つ洩らした。
父と母が残していった、この家には、今となっては、私と私の足の上に蹲(うずくま)り、暖を取っている猫1匹しか残っていない。
きっと、昔の物語なら、そんな風に始まるんだろう。
でも、今は違う…。


私が目覚めた事に気付いたのか、家の奥で、僅な機械音がしたかと思うと、やがて、大きな音を引きずりながら、そいつは、私の部屋までやってきた。


「おはよう」

優しい声をかける。
返事が返ってこない事位、解ってるつもりだったんだけれど…。
妙な、重くるしさが、そこには、残った。

「ハハ…。ごめんごめん」

髪の毛をかきあげながら、誰に言うとも無しに私は笑い声をあげ、ロボットをポンと叩き、かつてはリビングであった場所へと、足を向ける。
窓からは、明るい日差しが差し込んでいた。

点滅中の、緑のボタンを押すと、急にメッセージが流れだす。
最初に流れるのは、野太い声。
「おい、昨日の…」
「削除。だいたい、昨日なんて言われた所で覚えてないっての」

次は、か細い女性の声。
「え、えっと、今日なんだけど…」
「レミシアか…。保存。次」

「おはよう。いや、リカルド、君の事だから、こんにちはの方が合うかな?」

ごく普通の男性の声に、少しニヤけた顔を引き締める。

「はぁ~、また仕事か…」

俺は、工具を1本手に取り、足を進めた。話の内容は解っている。

この世には、需要があるから、仕事が生まれ、私には、事件があるから、必要性が生まれる。


そして、彼は、新聞を手に、重い音を後ろに従え、暗い廊下から進んで来る。
新聞の一面には、『ロボットによる事故』の記事。
被害は、100人…。うち、32人が死亡。25人が重症。残り、43人は…行方不明。


―ロボットはね、家族なのよ。だから、レアル。仲良くしてあげてね♪


優しい母さんのおもざしが浮かんで消えた。

「行くよ、母さん。俺…ううん、私を待っていてくれる人が居るから…」

彼女は、光の中へと消えていった



――――――

なんだか、何十年か先に『ロボット』が普通に、町の中、歩いてる事もあるかもしれないんだよな…。最近は、時間が回るのが早いですからね。って思ってたら、勝手に進んでくれました。
まぁ、確かに、あるかもしれませんが…。
私的には、もう少し、明るい方が好きです♪
あ、レアルとリカルドは同一人物です。