〇〇には、自分の名前を入れて下さいね。
暑いある夏の日。
いつもよりも盛大なパーティーが
新しく船員となった少女の為に船上で開催された。
毎日、走る様に彼女は船上で手が足りない所を持ち前の器用さと、
頑張りで補っていた。
その為か、彼女は何日もしないうちに、たった一人の船員を除き、
全ての船員と仲良くなった。
そう、たった一人の人物を除き…。
その人物は、いつも台所で煙草をくゆらせ、高級レストランで出される様な
豪華な食事をいつも同じ時間に食卓の上に並べる。
一度、少女は恐る恐る声をかけた事があった。
「あの、良かったら何か手伝いましょうか?こう見えても料理は上手いんですよ。
あ、それよりも、食卓片付けましょうか?あ、それとも皆の事呼んできましょうか?」
少女は恐々と呟くように急き立てた。
すると、金髪の青年は炒めていた手を休め、煙草をくゆらせた。
「ちょっと一人にしてくれるかな?」
少女は、急に顔を赤くし、まくっていた腕を恥ずかしそうに、
すばやく元に戻し
「す…すみません。迷惑でしたね。
あ、私他にしなくちゃいけない事があったんでした。
じゃあ、失礼します」
とまくしたてると、女部屋へと走って帰っていった。
男は、彼女の為とはいえ、折角彼女といられる機会を失い、少し悲しそうに、
料理を続けた。
少女は、女部屋の扉を開き、急いで扉を閉めると、扉の前に座り、
ガクリとうなだれた。
その部屋では、ちょうど、オレンジ髪の女ナミと美しい考古学者ロビンが
ソファーに座り、温かく二人にちょうど飲みやすい温度に入れられたお茶を
飲んでいた。
「大丈夫?どうかしたの?」
ナミは少女へかけよった。
「私…やっぱり……。」
少女は呟くとすぐに顔を上げ
「ごめん、ナミ。ロビン。私少し寝るね。」
そういうと、彼女は二人の心配そうな顔を横に、ベッドへと倒れた。
暫くして、彼女が目覚めると既に二人の姿は無く。
いつもとは違い、静寂な時間が流れていた。
彼女は、気分を落ち着かせる為に大好きな海を見ることにし、
階段をかけあがった。
海は彼女の心を落ち着かせる様に、ゆっくりと漂っていた。
「それにしても、皆どこいったんだろ?
たいてい、ルフィーかチョッパーか、ウソップの声がするのに…」
船は海の上を流れる様に進んでいる。
他のクルー達が隠れられそうな所は見つからなかった。
すると、突如紙切れが目の前に落ちた。
「今すぐ、図書室へ来い」
紙切れには乱暴な字でそう書かれていた。
彼女が不審に思いながら、図書室へいくと、今度は、流れる様なな字で
「ウソップ工場へ来い」
と書かれていた。ウソップ工場…?
彼女がまたしても不審に思いながら行くと今度は
「海」
とだけ書かれた紙が落ちていた。
彼女は、唯一海がよく見える場所。つまり、一番最初の場所へと辿り着いた。
すると、そこには、席に座り、彼女を待つ他のクルー全員が集まっていた。
「遅いぞ。まぁ、いいか、来たから。」
麦藁帽子を被った船長が嬉しそうに言った。
「いつも頑張ってくれて有難うな。今日は、お前の為にパーティーをするぞ!!!
だから、サンジ早く飯だ!!!飯ー!!!」
嬉しそうに、ルフィーが声をあげているとき、彼女の目には、涙が光っていた。
「どうしたんだ?」
船医のチョッパーが心配そうに、彼女を見つめた。
「な…なんでもないの。ただ、置いてかれたのかと…」
彼女は恥ずかしそうに呟いた。
「俺は仲間を置いていったりしない」
急に、ルフィーが真面目そうに答えた。
ウソップもゾロもロビンもナミもチョッパーもフランキーも、同じ様にうなづい
ていた。あの、サンジでさえも料理をテーブルに置き、頷いていた…。
「悪ぃな、〇〇ちゃん。ナミさんに言われて、〇〇ちゃんとは話さねェようにし
てたんだ。今日のパーティーの事がばれないようにってな。
そうですよね、ナミすゎ~ん。」
サンジが彼女に近づきながら、言った。
「本当、サンジ君には困ったわ。〇〇がいない所で口をひらけば
『〇〇ちゃんと話させてくれ』って…。でも、サンジ君、女の子には口が軽いから…。」
「まったく、手がかかる。」
ナミの台詞に割り込む様に、緑髪の剣士ゾロが口を開いた。
「あぁ、やんのか?!クソマリモ」
サンジは怒って反発した。
「じゃあ、私の事が嫌いだったんじゃ…」
ゾロに向かって歯向かっていたサンジは、彼女の前にしゃがむと
「俺が〇〇ちゃんの事嫌いなわけがないだろう」
といって暖かく彼女の事を抱き抱えた。
「さぁ、マドモワゼル。あなたの特等席はここですよ。」
そう言うと、彼は彼女を膝に抱き降ろした。
「俺の大切なプリンセス」