「鰯雲人に告ぐべきことならず」加藤楸邨
「缶酎ハイ、プシュ 空に鰯雲」プレバト
/むかし人の「秋刀魚の詩」や秋の空
/腸(はらわた)は卸しがいいと妻が云ひ
/脂のりし妻に秋刀魚の脂のりし
/落花生を吊るし鴉と根競べ
/木の実拾い縄文人の躁がしさ
/焙烙で煎りて銀杏の翡翠かな
/あの橋を越えて軽トラ暮れの秋
/栗の実の落ちて座を占む確かかな
/畝に来て仕舞ひ胡瓜を測るかな
/指で測る仕舞ひ胡瓜の青さかな
/水落ちてムラサキシキブ色深む
/傾いて秋明菊のラッタタタタ
/水沁むや秋の便りを洗車して
/秋海棠秋の名前を紅の色
/温かいたぬきうろんの家族かな
倉石智證