分裂───。

中国もロシアも自分たちと異なる他者なのか。

国家が憲法価値の実現主体。

民主主義、自己定義への模索が続けられる。

今では法では裁き切れない。

戦場で罰を与えるしかないのか。

家が巨大な墓地に見える。

ロシア人も同じ経験をすればいい。

ロシアが理解できる言語は兵器だけだ。

兵器が彼らと会話できる唯一の言語になる。

「戦場でこだわるなら、OK、それを戦場で決めよう」(ラブロフ23,9,24)。

ゼレンスキーの焦躁、西側の冷え。

戦場は膠着状態に陥った。

今年中にウクライナ分割がまことしやかに囁かれるになった。ウクライナ国内においても厭戦気分が高まって来た。執拗なロシアのミサイル攻撃に、領土と主権の一体性を手放しても平穏な日常が取り戻せるならばと云ふごく当たり前な庶民の感情ではある。ゼレンスキー政権はしかし、「占領者がわが国土にゐながら交渉を進めるのは、戦争を凍結し、苦痛を凍結するものだ」と、ロシア軍の撤退こそが交渉の入口であるという姿勢を崩して無い。しかし古今東西戦争はGDPでするものだと云ふ定理は変わってない。ロシアにはウクライナに比べて人口と、エネルギーと、食糧がふんだんにある。ウクライナは欧州議会で約8兆円の支援予算を確保できたが、米議会におけるほぼ同額の抱き合わせ予算は転覆させられた。行政は戦争予算ばかりでなく、年金などの一般予算も払い続けていかなければならない。

迷路に行き詰まったら出口、つまりお尻から考えてみる必要がある。必要はまず停戦であり、平和である。ロシアが求めてゐるものを改めて明確にして、落としどころを探す。国連五大国の一つでありながら人んちに土足で踏み込んでここは自分ちだと云うのはどう考えても無理筋だ。多くの虐殺を伴って人々の運命を無残なものにしたことは世界史に対しての重大な汚辱になる。ロシアはウクライナ東部の親ロシア派支配地域を独立国家として承認した後に全面的な侵攻を開始した。「全占領地の返還」と「戦争犯罪と謝罪」を分離させてみよう。ロシアの云うなれば「ルガンスク共和国」「ドネツク共和国」の二地域のみのロシア領への譲渡である。然るにこの地点から領地・領土とロシアの犯した消しようもない「戦争犯罪=謝罪、賠償」を別のルールで国連など世界意見は論理だてていかなければならない。

ロシアとウクライナの砲弾の一日1万発と2000発の差異はいかんともしがたい。誰だって死にたくはないんだから戦争の帰趨は時間の問題である。ウクライナは戦略的撤退に入りながら、自国軍の優位性を保てるのか。“もしトラ”の米国、黙認の中国、砲弾供出の北朝鮮などの枢軸によってロシアの云いなりに支配地域が分割されることだけは何としても避けたいところだ。▲アゾフ海に面した領域まで全部塞がれる前にである。▲またロシアは黒海封鎖食糧を武器に変えた。ウクライナの勇敢なアゾフ連隊が撤退した無残なマウリポリにロシアが街の再建に乗り出してゐる。選挙と云い、パスポートと云い、通貨フリヴニャからルーブル使用へと強要、ウクライナ若者を徴兵制度に組み込むなど、ロシア国家への編入への既成事実化を一気に進めている。自由選挙によってとは云いながらクリミアタタールには100万人ほどのロシア人の移住もすすめたとのことである。

“再建”ロシアが実効支配するウクライナ南部マリウポリで再建が進む劇場

=2023年12月(タス=共同)

 

世界はもうとうに底が抜けてしまっているのでせうか。「死と絶望の場所」ガザは人の住めない場所になった。止まない砲撃、飢餓、感染症。米国議会然り、国連でも、欧州の右傾化など民主主義の欺瞞と停滞は明らかです。Implication “連累”───我々は誰しもが広大なかつ尽きない連綿とした歴史の断片のうえに責任ある地位として乗っかってます。したがって誰しもがこの人類に対しては不断に責任があり、其の地球規模の理性を手放すわけにはいかない。

 

僕はこのルハンシク共和国とドネツク共和国の地図をずっと見つめている。許されるならこの二地域を取り囲むようにルハンシク州、ドネツク州に例えばクルド人国家を定植できないか。そしてザポリージャ州にはガザのパレスチナ国家をである。クルド人およそ3000万人、ガザ・パレスチナ人550万+海外漂流の人たち。今世紀における“ゲルマン民族大移動”である。ゼレンスキー大統領は「自由に対する我々の感情、生存への希求、平和への希望」においてウクライナ、ロシア両国において違いはない、と云った(2022,3月)。これはつまり敷衍出来る人類の普遍的感情と云へるのではないか。然るにウクライナにはかって第2次大戦の日本のように戦争に負けて自由になると云ふ選択肢はない。なぜならロシアが求めているのはウクライナ人のアイデンティティの絶滅だからである。

 

元より戦争の継続は大統領が決めるものではない。領土と主権の一体性についても国民投票が決定的に必要になる。整理整頓するとそもそもプーチンは「ウクライナは我々の祖先の地であり、ウクライナとは一体だ」あげく「ウクライナは我々の領土だ」と云うことになった。ウクライナの領土を蹂躙するのに一向の痛痒も自国の若い兵隊を死なさせるのも同じように痛痒も感じてないようだ。ただ求めているのは「非ナチ化」「中立化」のことで、ウクライナは敵ではなく、本来の敵は民主主義、資本主義の米国、欧州であると歴史観をまくしたてている。