わたしに誤配する

ないしは私を誤配する

急に居心地が悪くなる

水寞───

もうちょいのところ

1974一原有徳「<銅のメモ>より」

 

目の前に方形の建造物があれば

わたしは間違いなくそれを避けて

迂回することになるだらう

わたしは誤配される

わたしは誤解なのだ

ところが生理としての私はもう間違いなく待ちきれなくなっている

どんなに棘だらけの荊棘けいきょくであれ

痛いほどの想ひは

海の上を飛んで行けと

夜の闇に乗じなさいと

私の生理は突起し

猪突猛進して水に流れる

 

私は誤配だらけだったのだ

知らない土地でお店のビラを駅の改札で配っていた

気が付けば女の子のお布団に潜りこんでいたり

それはそれで小さな突起物だった

誤配が連鎖して誤解が誤配を生んだ

猛烈に主体が非難される

まだうら若い女史に税務署でこっぴどく非難される

忸怩たる想ひだ

誤配だったのに違いない

もはやいろんなところへと放り込まれて

二進にっちも三進さっちもと

生理であれ物理であれ

私が追い込まれてゆくのが分かる

やむに已まれない快楽のほどに導かれるのならいいが

仮託は火宅になって

また水寞に閉じ込められる

 

私がわたしに誤配する

私が私を誤配する

誰かが私の後を蹤けて来る

水寞───

もうちょいのところまで

 

倉石智證