■内部留保446兆円、6年連続で過去最高更新(18,9,13朝日新聞)
▲労働分配率は低水準のまま。
上記の図式では、マネーが増えれば税収も増えるはずである。
物価×生産量=マネーの流量(GDP)。
GDPはあらゆるところに生み出される付加価値の足し合されたものだ。
ところでマネーストック───
(実際に銀行に貯蓄されているマネーと + 銀行の外に押し出されたマネー)の
見かけは増えていないやうだ。
マネーはどこへ行って仕舞っているのだらうか。
ひとつはまた回流して日銀の当座預金に“豚積み”されている。
ひとつは企業のバランスシートに内部留保されている。
そしてもう一つは家計のどこかにタンス預金されている。
実質と見かけに差異がある。
そして税金は名目に対して課税されるわけだ。
見かけを増やすためにはではどうしたらいいか。
景気が良くなればともかくこのような経済の長期低体温では、
これはもう中銀には滞留させず、企業や家計にはため込まずに使ってもらうしかない。
金利による誘導政策や課税システムが必要になる。
■ベースマネー(中銀による種銭)
中央銀行が通貨として発行する負債には、二種類あって、
「日銀当座預金」と「現金(紙幣)」
(負債の部)
・民間銀行の保有する日銀当座預金
・民間銀行の保有する現金
・民間企業、個人の保有する現金
■マネーストック(景気の指標になるようだ)
・民間企業、個人の保有する現金
・民間企業、個人の預金
2013,4月“黒田バズーカ”は低金利政策と量的緩和をマーケットに始めた。
後、官邸相場、ETF(上場投資信託)とREIT(不動産投資信託)を直接買い支える政策も始動。
マネーは即刻、
①為替経路→円安→輸出に有利に
②株式市場 ⤴ →年金GPIFなど資産運用有利に
③不動産市場 ⤴
へと流れた。
日銀はすでに銀行の当座預金のある部分にはマイナス金利を付与してゐる。
日本でも議論されているが、韓国では企業の内部留保には税金を課してゐる。
所得に於いて、株式の売買や配当金などの金融資産は、
所得税から切り離されて20%の分離課税になってゐる。
そのことに対しては大分前から盛んに、
富裕層に対しての得点になっていることが指摘されている。
所得の何倍も金融資産で稼いでいても、所得とは分離されていれば、
低所得層の人の税負担に対して、
いかにも総合所得に対して有利であることは目に見えてゐるからだ。
また日銀が銀行の当座預金にマイナス金利を適用するのは、
銀行にもっと市中に金融を盛んにしてほしいからだ。
ところが企業はもはやアントレプレナー、
国内に対してはあんまりリスクテイクをしなくなった。
人口減、高齢化の日本、年金の先行き不安の国内に対して、
投資が抑制的になるのは当然の判断にはなる。
それでも三菱UFJなどの大手はアジアなどのインフラや、
人民元建ての国債や社債の取引に乗り出した。
問題は動産的大手に対して、不動産的中小地方銀行のことである。
日銀のマイナス金利政策が逆ザヤのような形になってその経営を追い詰めてゐる。
マネーは経済の血流である。
その血流が滞りなく社会に行き渡ってこそ、信用創造が繰り返しいたるところで行われ、
負債は資産となって return on asset、またバランスシートに資本蓄積されることになる。
日銀はこのマネーの流量と流速を高めようとした。
マネーが市中に盛んになれば物価が上がり×生産量が増大(雇用⤴)し、
よってGDPが国を豊かにするからである。
───、豊かにするはずであった。
インフレ期待が供給と需要に点火して、景気の好循環が生まれるはずだった。
さて日銀の低金利政策と、量的緩和によるマネーはどこへ行ったのか。
企業はマネーを銀行の融資にばかりではなく、株式市場や社債市場によっても調達する。
即刻マネーが流れたのは、政府と日銀の思惑通り
①為替経路
②株式市場
③不動産市場
などであった。
実体経済に流れたわけではなかった。
①②③とは金融リテラシーをもって、金融アクセスが有利に可能で、
信用を有利に得られる、つまり富裕層のことである。
▲“逆進性”低所得層→富裕層
(井手英策・慶応義塾大学教授16,6/27日経)
タンス預金(2018年)───
日本人の資産残高は1684兆円。そのうち875兆円がタンス預金。
脱税なのか、非常用持ち出し ?
預金保険制度(ペイオフ)元本1000万円まで保証。
年金も含めて災害時のこと、政府は国民に信用されてゐないのか。
政府は何とかして年金における自助資金と、
そして投資マネーに回して欲しがっているのだが。
倉石智證