とても“手持無沙汰”に見える。
約4升分(16人分)
「(トランプ杯/アメリカ合衆国大統領杯)
これから何百年も相撲チャンピオンに贈られるトロフィーになるだろう」
『郷に入ったら郷に従え』と云ふではないか。
天皇陛下に於かれても大相撲観戦は2階の貴賓席から。
あのフランスのシラク大統領は是非升席でと云ふことで升席でご覧になった。
椅子席のトランプ氏は写真を見る限りまるで王様のようである。
そして安倍夫妻は陪臣のやうに傅かしずいてゐる。
トランプ大統領は『内閣の助言と承認』によって令和になって最初の国賓として来日する。
大相撲観戦、ゴルフ、高級炉端焼き───
接待、歓待、そして安泰となるのだらうか。
大相撲は庶民の文化であり、楽しみでもある。
日本の様々な芸能はある文化から派生し、永長い年月を経て、洗練され、昇華され、
民衆社会に伝統として定着して来た。
相撲は神の依り代に根差すものであり、その奉納は、格闘技とかスポーツとかではない。
(19,5,26朝日新聞)
「令和の初の国賓として、トランプ大統領、メラニア夫人に訪日していただき、本当にうれしく思う。
令和に入っても、日米同盟の絆が強固であることを鮮明に内外に示すものとしたい」
「日米同盟はこれまでになく強固になった。
『かが』の艦上に我々が並んで立ってゐることが証しだ」(首相)。
「米海軍艦隊と同盟国の海軍艦隊が並んで司令部を置く世界で唯一の港だ」(トランプ大統領は強調)。
「日米同盟はかってないほど強固だ」とトランプ大統領、
「F35戦闘機の数は米国の同盟国の中で最も多くなる」
「力による平和が必要だ」と演説した。
(19,5,26朝日新聞)▲武器を売却、そして日本へ。
“スティグマ”───誕生日が東条英機ら戦犯が絞首刑に処せられた12/23、
米国は日本、とりわけ前天皇に「忘れるな」と刻印したのだ(1948,12/23)。
父、昭和天皇の戦犯の問題も重なってくる。
沖縄の児童本土への疎開、対馬丸事件では自身とおない年の生徒たちが大勢亡くなってゐる。
明仁皇太子にとって、後平成天皇にとって戦争とは日々今に続くものだったのに違いない。
以降必死になって“象徴”とはを模索なさった。
真摯な態度を貫かれれば、即ちそれは全身全霊となり、
象徴は一側不離となる永い皇后陛下のとの旅路になった。
在位中最後となった会見で、
戦後の平和と繁栄が「多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれた」と述べられた。
豊明殿で開かれた晩さん会で新天皇は
「今日の日米関係が、多くの人々の犠牲と献身的な努力の上に築かれていることを常に胸に刻み」
両国民が「世界の平和と繁栄に貢献してゆくことを切に願っています」
“両国民が”と念を押され、前天皇の思ひを踏襲為されたかのようだった。
社会や世界がものすごい複雑系であることを承知の上で、
しかし、「力による平和」などと云ふ言葉は一度も綸言なさったことはない。
“国技”とまで呼びならわされたものを格闘技や単なるスポーツのやうに観戦し、
しかも落ち着きなく退屈気で、優勝杯を渡す時だけ名誉と尊厳を求める。
ツイートではバイデン元副大統領を「低IQ」(北朝鮮の受け売り)などと揶揄し、
およそ品格のかけらも感じられない。
世界の指導者の中でもっとも文化からほど遠い御仁なのではないか。
日本には“ディール”とビジネスに来た。
「(貿易交渉の)大きな成果は7月の選挙後まで待つ」これはトランプ氏の“貸し”になる。
「おそらく8月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」。
TPPを基本路線にする日本に対して、
「米国はTPPに入っていない」「TPPなんて関係ない」と云い放った。
もてなし外交は世界にはどう映ってゐるのだろうか。
あまつさへ「July Elections 」と云ふ問題ツイートまで発覚、
日本の選挙が米大統領の専権事項ででもあるのかと、共産党の小池さんは息巻く。
(19,5,28朝日新聞)
「あなたは新時代令和の初の名誉ある賓客だ」
と安倍首相が云ったとトランプ大統領は云ふ。
「世界中で私だけが賓客だ。
世界中の国々のなかで、この皇室の200年のうち最大の行事で、私が賓客なんだ」。
やまとは国のまほろば、たたなづく青垣…
美しい日本、国を愛する態度を養うと、道徳を教科にまでした。
令和は美しく国民が寄り添って防人を持ち出すまでもなく
“一億総活躍”の社会を実現させるとのたまわった。
和歌、有識故実、立花、茶席、お能、俳諧、落語、芸能…
祭りは祀るから出て来て、従っておよそ日本の文化の淵源を為すのが天皇家で、
その潮流を形作り、派生あまねく、日本文化の精華の有機体の塊とも云へる天皇家は、
わが日本の優美、優雅、うるわしさを伝えるご本家であり、天皇と云ふ系譜になった。
「令和」はまさしくうるわしく和らぐ、が本意であらう。
相撲観覧の椅子席は“うるわしく”をかなぐり捨て、
「力による平和」F35Bなど追加購入などは“和らぎ”からはるかに遠く、
ゴルフの自撮りは子供めいて一国のリーダーたる品格を疑う。
「共同声明」ならず「共同記者会見」では、
「内外に日米同盟の強固な絆を鮮明に示すものとした」・・・、
噫あゝ、である。
思い切り内外に“恥”をさらしたかのやうだ。
「戦後レジームからの脱却」ではなかったのか。
「美しい我が国日本を取り戻す」ではなかったのか。
戦艦アリゾナで前オバマ大統領と海に献花した翌日、
もう日本に戻り、ゴルフに興じてゐる。
およそこの人にも誠意、誠実と云ふものが感じられない。
リーダーに民度が無くなれば、民のメンタリティもそれに共振する。
奇しくも川崎でまたいたいけな子供たちの殺傷事件が起こった。
日本が壊れてゆく感覚を多くの国民が抱いたのではないか。
我が国は正義と礼節に悖もとるやうな国であってはならない。
トランプ大統領の“気まぐれ”でパレスチナでも国境でも多くの人たちが死んだ。
自国内でも銃規制に取り組むことなく、多くの人命が犠牲になった。
トランプ氏ははっきり云って手を血で真っ赤に染めた murderer なのである。
『内閣の助言と承認』による、
その手が新天皇と握手を交わし、
友達ででもあるかのやうに、新天皇の背中を押した。
倉石智證