「財布だけ用意しとけと北が云ひ」

だと思ってゐたら

「経済支援は日中韓がすべきだ」

アメリカは遠いし、隣国同士の日中韓がすべきで、それはもう伝えてある、

とMr トランプは述べた。

「北朝鮮とは仲良くなりつつある」

「最大限の圧力と云う言葉は使いたくない」

「100%アメリカと一致してゐる」とまで安倍首相は断言していたのに、

こうして次々と梯子が外されて行って、

とうとう一人ぽっちになってしまった。

「会いたい」金正恩───、

5/26日、2回目の板門店での会談。

今度はお互いに抱擁する。

「私たちの心は近づいた。平壌とソウルの距離も縮まった」

 

5/27日、安倍・プーチンの会談は21回目になり、

決まったことは「ウニの養殖」と「イチゴの温室栽培」・・・

それらの経済協力もロシアの法律下で進められる。

21回の会談でもう総計いくら使ったんだらうね。

安倍首相は昭恵夫人を伴い、

アリーナ・ザギトワ選手への秋田県「マサル」の贈呈式に駆け付けた。

夫婦でロシアへ行ったのはこのためだったんだ。

 

6/1(金正恩・ラプロフ)

Kim Jong-un complains to Russia over 'US hegemonism'

アメリカの覇権性に対して正恩氏は文句を云った。

 「ロシアに来てください」とラブロフ外相は。

日本の一人ぼっち性はいよいよ明らかになり、

とうとう6/3(トランプ・金英哲)会談で、

「(非核化)ゆっくり進めてください」とまでトランプ大統領はそのプロセスに対して緩和した云い方に転じた。

18,6,3日経

「ゆっくり進めてください」米、非核化で一括合意求めず 12日に米朝会談

会談後に握手するトランプ氏(右)と金英哲(キムチョンピル)氏=AP

 

日本ははしごを外されまくって、とうとう6カ国の中で唯一北朝鮮と会談も持てない、

さみしい、置いてけぼりの国になってしまった。

 

「財布だけ用意しとけと・・・」

本来は『日朝国交正常化』は我々日本が有してゐる"伝家の宝刀"であった。

日本はそれを、今となっては完璧にその出すタイミングを誤ってしまったやうだ。

足元を見られてゐる。

北と南は火の玉のやうになって「慰安婦問題」「歴史認識」について攻め立てて来る。

そればかりでなく半島は中国やロシアとも束になって歴史認識問題で云い立てて来る。

人権問題としてアメリカも半島に加担して、結局日本に、

「さあ、おカネを払いなさい」と云ふことになるのではないか。

賠償は何兆円と云ふ単位になる。

イラク戦争の時と同じで、ただおカネを出すだけの国で終わってしまうかもしれない。

 

どうしてこのやうになったのか。

日本自身が自らの歴史認識に対して贖罪、謝罪も含めて、

戦後その立ち位置を明確にしてこなかったからであろうと思われる。

東京裁判は連合国の勝者による裁判で、日本は自ら東条英機ほか戦争指導者や、、

ひいては自分たちを裁いたわけではない。

「ナチスのことを知りたかったらベルリンに行けばいい」

ドイツは恰も国是のやうにして、戦後そのやうにしてきた。

ビリー・ブラント首相は自らポーランドで戦争碑の前で"跪き"さへした。

しかし我が日本は未だに朝鮮半島などに関して、

わが国が犯した植民地主義を解剖していないままにしてゐる。

わたしは前にも散々云ったものだが2020のオリンピックに際して、

国立競技場の観客席の下に、円周状に「世界歴史平和博物館」なるものをビルトインして、

あらゆる戦争の歴史と、日本のアジアにおける侵略と、

とりわきて「朝鮮併合」に関してなどの資料の公平な展示をする、或いは

時には"南京虐殺"と云はれているものなども中国から借りて展示するなど、

日本の独自の歴史認識を内外に照射し続けられたら、

それこそがまさに政治道徳にかなったものであり、

歴史認識に対しての誠実性につながるものだと思ってゐる。

発信し続けることで内外からの引きも切らずの観光のスポットに持ち上げてゆくのだ。

 

安倍首相はもう謝るのにうんざりしてゐる。

日本会議はじめとして自民党保守の古層には我が国の国体とは、

「日米安保と9条(集団的自衛権解釈)と象徴天皇制(男系男子・万世一系)」

であるとし、それをあのみなさんは頑なに信じて押し進めやうとしてゐるかのやうだ。

外交とは歴史認識である。

依って立つ歴史認識が誠実性に欠け、歪んだものであれば、

それはその通りの結果しかもたらさないだらう。

「祖国とは言語」である───。

『創氏改名』朝鮮半島の皇民化など、言葉と文化を根こそぎ奪った。

歴史を奪われた民族とはすでに存在し得ない民族となる。

自分たちがその立場に置かれたらと、考えるべきだ。

 

日米安保が日本の米国への忖度になり、

内閣への忖度が、官僚のもろもろの隠ぺい、破棄、虚偽、妄言の根拠となった。

米国は戦後しょっちゅう世界に物議をかもしてきて、

日本はその都度たん瘤のやうな米国に四六時中忖度して来た。

沖縄の人権、基地の問題をはじめとして、日本の国家、社会の権力中枢への忖度は、

米国への忖度と云ふ問題から始まってゐる。

三島由紀夫に云はれるまでもなく、これこそが本来的に“戦後レジームからの脱却”なのだ。

忖度は法律罰とはならないが、空気感は時代のマンタリテとなって、

歴史を想定外の思いがけない方へと奔流させたことは戦前の事象から分析される。

 

米国に阿(おもね)る六カ国協議などまるで意味をなさない。

それこそが対話のための対話に終始し、停滞をもたらせてきた原因の一つであろう。

1910(朝鮮併合)以前から、朝鮮半島に関しては、

日本が唯一の当事者だったことは明らかなことである。

朝鮮動乱以前日本の植民地主義は、結果として朝鮮戦争の遠因となったこともあり、

必ず歴史とはすべて陸続きな事柄であるから、「日朝国交正常化」は日本が当事者であり、

6カ国協議とは別に独自に、日本が率先して取り組まなければならない問題ではあったのだ。

 

文在寅大統領は独自外交を米朝会談に繋げた。

日本は自らの歴史認識を内外に明確にすべきだ。

慰安婦の方たちは90歳を超え、残された方は46名と聞く。

残されたチャンスはもうあんまり時間的にもないのである。

 

野党(連合)はいつも国家の安全保障のためにも「野党外交」をしっかりしておく必要がある。

安倍政権の反対な外交を主軸にすればいいのだ。

・日米安保はトーンダウン、米国とは友人としてしかし、ドイツ、フランスのやうに距離を取る。

・防衛予算を減らすことで、いくらかでもそれを教育や社会保障にも回せることが出来る。

・慰安婦の方たちには心のこもった誠実な謝罪をする。

そこいらあたりを取り合えず中心として、

普段からあらかじめ歴史認識に基づいた「野党外交」を行っておけば、

万が一安倍政権が米国にこけても、与党に変わり得る野党になり得るのではないか。

他国に対しての外交の在り様を核として、野党自身の外観を有権者に提示する。

過去の過失ばかりの国会審議では、どう考えても自分たちの党の政略アピールにはなり得ない。

自らの党をはっきりさせるには党外交を通して未来を語るやり方もあるはずだ。