祖父の阿部寛は一貫して戦争反対論者。

1942の総選挙では翼賛会の推薦無しで勝ち抜いてゐる。

一方のお祖父ちゃんは岸信介。

1941日米開戦時の東条英機内閣では商工務大臣(戦争推進派)。

1944,7/7サイパン陥落で東条英機内閣は総辞職。

岸信介は「反東条」に回る。

1960,5/19「改正日米安保」は深夜に成立。

片務条約からさんざんな密約を伴う“双務条約”となった。

安倍晋三自身は自分父方の祖父の阿部寛ではなく、

自身のことを母方のあたかも岸信介の内孫であるかのごとく標榜してきた。

改めて云ふまでもなく、ここに“万世一系=男系男子”は破綻しているのだ。

安倍晋三は「女系男子」と自ら認めることになり、

自民党保守の90%以上が会員となり拠って立つ『日本会議』等の主張と、

まったく論理的整合性が取れなくなる。

ましてや新憲法は主権なく“押し付けられた”と云ふのには値しない。

自らの婚姻であれ、自身の父母の婚姻であれ、堂々としたお見合いではないか。

自ら、刻々と“選び取った”のである。

新憲法は戦後議会で半年ほども審議、精査された。

およそ「芦田修正」───「前項の目的を達成するために」云々は、

その時に付け加えられたと云ふ話だ。

先人はみな左右なく、主権のために能く頑張られたと思ふ。

憲法の“出自”ばかりのことではない、

「憲法9条」は未来に値する約束となる。

 

 

■一帯一路国際会議には130余り国と70以上の国際機関から計1500人が参加。

イタリア、スペイン、チリなど29カ国の首脳が出席した。

■中国版マーシャルプランはその意図はともかく、世界の「需要創造」に資することは明らかだ。習主席曰く「かってシルクロードはその交易に於いて、人や文物のみか、法律も、医療、あらゆる文化をももたらした」となむ。

▲必ずや世界史に足跡を印すであろうこの「一帯一路」構想に対して、世界が必要とし、雪崩を打って参加申し込みが続いてゐるAIIBに対して、いま日本が、安倍政権がこれこそが我が国の喫緊の死活問題であるかのごとく踏み込んでゐる「憲法改正」とはなにか。

 

世界に必要とされる国になりなさいとは、リー・クアン・ユー故シンガポール首相が仰った言葉だ。また「反対意見も民主主義に属する」とはメルケル首相の言だ(17,2/2トルコのアンカラでエルドアン首相との会談で)。

 

かうしてゐる間にも世界史は一気に中国主導で進展してゐる。「機は熟して来た」「国民的議論に値する」───。改憲の事、それもあからさまに「憲法9条」を主目的としてきた。現在日本が抱えてゐる諸課題を解決するため、と嘯く。マネーの流れを見れば分かるではないか。国民福利を脇に置き、沖縄も、原発も、熊本も、いまだに置き忘れられたまま、日米同盟こそが我が国体、とばかりにあらゆる事柄を今そのベクトルへと導こうとしてゐる。

■17,4,13朝日新聞

(FMS)日米間政府有償軍事援助。

安倍政権になって一気に膨らんだ。

維持整備費───

■4機種のみで=860億円

その支払いが今後20~30年間続く。

■オスプレイ17機=調達費1842億円

■F35(42機)=維持整備費は30年間で1兆2000億円

 

1989年,外ではベルリンの壁崩壊があった。ヤルタからマルタへ、この年ブッシュ・パパとゴルバチョフは地中海マルタに遊び、長く続いた冷戦が終わりを告げた。1991、ソビエトは解体され、新生ロシアへと移行した。"グローバル世界"の号砲が打ち鳴らされたのだ。1992鄧小平の「南巡講話」。「白い猫でも黒い猫でも鼠を獲る猫がネコだ」。分かりやすい経済合理性は巨大な深圳へと発展する。

 

一方、我が国ではバブルが崩壊し、暗く長い「失われた20年」へと入ってゆく。金権政治と中選挙区制の弊害への過剰な反応による、選挙制度改革(小選挙区制度)、政党助成金の創設などが実現された。それと同時に政党による群雄割拠が繰り返されてゆくのである。その中心に存在してゐたのが小沢一郎氏であることは皆さん周知のことである。政治的エネルギーが「内国的問題」へとバキューム、消耗されてゆき、バランスシート不況に対しての早々の公的資金の投入も不作為のまま、かてて加えて世界のグローバル化に対して政治の世界はその文脈を世界に見失い、その間隙をぬって、電気産業では、家電のみならず半導体まで、韓国や台湾などに市場が席巻されるままに放置された。

 

デジャビュ―である。我が国は今まさに、息巻く与党安倍政権、維新の党らによって、かの1990年代と同じ道をたどろうとしてゐるのではないか。憲法改正か我が国の最もな主題であるかのごとく、国民の目を、注意をそらし、国政においてもあらゆる膨大なエネルギーを内国に費やそうとしてゐる。「失われた20年」が何をもたらしたか。根雪のやうに国民生活に沁みついたデフレ心性は、国民感情となり、そのマンタリテは勝者を褒めたたえるプラス思考ではなく、絆思考に現れるが如く、負の精神においてお互いが結び付こうとするかの如く、活発な上昇志向とは少し無縁で、内へと今なお逼塞をもたらしているかのやうに思へる。憲法9条改正でなにか国民生活がよくなるのか。憲法改正するところで世界が振り向いて関心を持ってくれるのか。上図のFMSのマネーの流れを見れば安倍政権の意図するところとその責任の所在の流れが分かると云ふものである。

■「ダボス会議」習近平国家主席

今後5年間で8兆㌦(約900兆円)の商品など購入する・・・

■シルクロード基金、約400億㌦(約4兆5000億㌦)から1.6兆円増額する。

=約6.1兆円。マネーの規模の事ばかりを云っているわけではない。この夢であり希望めいたわくわく感の演出には、世界の自然な人間感情はもはや逆らえないのではないか。

■TPPは単にあるGDPの広大な地域に於ける貿易水準のルールを決めることに過ぎないのに対して、AIIB「一帯一路構想」は金融とインフラ、かつそれは情報ハイウェイとエネルギーと、安全保障つまり刻々と変化し得るユーラシアから欧州に至る、いや中東イスラムの地政学まで関わる戦略的インテリジェンスまで網羅されると云ふことである。

■日本はかって1933、国際連盟から脱退して意気揚々と錯覚した時代があった。情報を一方的に遮断するとはそのことである。日本は世界の滔滔とした潮流を見誤り、傲慢に太平洋戦争へと突入した。

 

副大統領ペンス氏が韓国を訪問した。北朝鮮はミサイルを発射した。空母カールビンソンが日本海に遊弋する。北朝鮮はまたしても高高度に(ロフテッド)ミサイルを打ち上げた。文在寅氏が大統領に就任し、中国で習近平国家主席がAIIB"一帯一路"国際会議を招集していた最中である。北朝鮮に関しては日米同盟は少しも抑止、機能していないことは明らかである。