■安倍政権発足は2012,12/26。

実は静かに国のアウトプットは下がってゐる。

首相をはじめみんなサラリーマンだからだが、一軒のお店にしてみれば(私は居酒屋を経営)売り上げが静かに下がっていくことなんて、経営者にしてみれば恐怖そのものである。

 

一方国民の意識しないところで国の借金を静かに急激に増やしてくれてゐる。

▲(2年で41兆円余り増え)

政権発足直後、安倍晋三首相は12年度補正予算で10兆円超、

13年度補正で5兆円超の対策をそれぞれ打った。

▲16,2,6“26兆円

国の借金の残高は1年で26兆円増え、2016年度末には838兆円に達する見通し。

長期金利が財務省の想定より1%幅下がると、支払う利子は1年間に1兆円規模で減る関係にあるという。

▲16,6,15朝日新聞

(借金932→1062兆円=130兆円)

将来不安、消費よりも貯蓄 給付金「空ぶかし」懸念も。

庶民は爪に火を点すやうにして暮らしているのに、「森友学園」の問題(「国有財産の「値引き」)然り、キューバ訪問もさうだが、過日はプーチン大統領訪問と、メイ首相訪問にまた意味不明に昭恵夫人を伴った。外交で点を稼ぐのはせめて投資に対してのコストパフォーマンスが明らかになる事を前提にして欲しいものだ。

 

民主党を引き継いだ辺りがGDP=約500兆円。安倍政権の直近のGDPは=537兆円。それも計算方式を過去のものとは変えた上での膨らんだ数字である。マネーをあたら突っ込んだ割には成長率に反映していないのは明らかである。

 

■17,5/11日経

黒字=20兆1990億円(第1次所得収支)海外企業から受け取る配当金や債券の利子など企業の海外子会社の稼ぎを示す第1次所得収支の黒字額は13.7%減の18兆356億円

 

2013~貿易収支が伸びたのは"黒田バズーカ"により、為替が円安に傾いたからだ。

しかし、ここに来ての貿易収支の黒字は、円高傾向に加えて原油安が基本的に続いていることと、これは注意しなければならないことだが輸入が減少してゐる(国内景気低迷)所為でもある。かてて加えて第1次所得収支まで下がってゐる。海外での日本企業がドイツや中国や米国、韓国などの企業に競り負けてゐるのではないかの懸念も浮かんで来る。

 

▲労働人口減→完全雇用と有効求人倍率のアップ⤴

GDPに対しては供給制約、と云ふことになる。

▲就業者数が増加して⤴、労働投入量が増えないのは、限られた仕事を就業者数で分け合ってゐると云ふことだ。低賃金の雇用者が増えてゐる。

■ちなみにGDPは=労働参加率×投入時間、にもよることから、短時間労働者が相当増えていることも想像できる。

▲お隣の韓国では"9988"と云ふ数字が定着していると云ふことだが、大企業が1%で中小企業が99%。そして中小企業で働いてゐる人達の人口が全体の88%だと説明されるが、日本も構造的にはそんなに異なっているわけではない。同一の問題として非正規労働者等に対しての労働改革になるわけだが、しかし、生産性を上げることなく、「同一労働同一賃金」と云ふことにしてみても、労働市場におけるより流動性を図る政策にしても、生産性が上がらない限りにおいては、増大しないGDPをお互いに喰い合うと云ふ構図には変わらない。

■15,3/17日経

上流を押さえるアップルなど研究開発、いわゆる知財。しかしながらこの分野が多くの雇用者を創造することはない。そして、儲けるためには下流の市場におけるマーケットシェアである。

日本はたとへば半導体(=「コメ」)を輸出して、スマホなどの製品(=「餅」とか「饅頭」)を購入しているわけだから、あんまり有利な商売のあり方とは云へない。そして、中流が一番賃金で叩かれる部門となるわけだ。ルーティンとしての中流はあからさまに要素均等化の影響を受ける。追い上げて来る発展途上国の賃金との競り合いになるのだ。およそ先進国におけるグローバル化の恩恵から漏れ落ちる人達とはこの領域に存在する。

16,10/1朝日新聞

▲社会保障不況

・企業の負担

・若年者の負担

・高齢者の負担

 

「憲法は後でいい」───。

安倍政権は上滑りに滑って行く。国民もほぼあきらめに近い気持ちでそれを容認してゐる。憲法の基礎は国民生活にある。これだけ内と外に暮らしに関する諸問題が積み上がっているにもかかわらず、その本丸は「憲法九条」と云ふことらしい。憲法九条を変えたって、庶民の暮らしが明らかに楽になるわけではない。憲法九条と「生産性」とは全く無関係なものだ。

 

リー・クアン・ユー故シンガポール首相は奇しくも述べられたものだ。建国の礎としていつも肝に銘じておられたことは「世界に必要とされる国づくり」を、と云ふことだった。憲法九条改正は世界の注目を惹くこともなく、却ってアジアの諸国には過去の戦争における記憶と共に悪しき偽熱を呼び覚まし、一衣帯水の中国、韓国などのお国に対しては、徒な疑心を抱かせることになるに違いない。つまり、外交における生産性の低下と云ふことである。世界史に参加することもなく、空しい自己満足である。