「与えられた他人の物語を生きてゐる」とする。
それを自虐史観だと云ふ。
米国のトランプ氏の風圧が世界を混乱させた。
米英は特別な同盟国で、英国のメイ首相は選ばれて最初に面会した。
さて我が国の首相は2番目に選ばれたことになる。
たくさんの見通しのないお土産をいっぱい持って、
───ならばと、ハグして、長い握手となった。
尖閣の5条適用、経済は別枠を設定、専門部位がチームワークすると云ふことになった。
満額回答、万々歳、それで国内の多くの人達もほっと胸をなでおろした。
ほんたうだらうか。
理性脳が皮質線条体に負けた。
人類が膨大な血を流して求め、勝ち取って来たようなもの、
普遍的価値とはなんだ。
自由とか平等とか人権とか、慈悲とか愛とか、
少し突き詰めれば礼儀があって時として清貧であり、慎ましやかであることなど、
たとえば昔かのガンジーさんはこう云ったものだ。
これらを「7つの社会的大罪」とする。
(1)理念なき政治
(2)労働無き富
(3)良心無き快楽
(4)人格なき学識
(5)道徳無き商業
(6)人間性無き科学
(7)献身なき信仰───。
トランプ氏の内閣府=ジェネラル(軍人)とウォール街(とびきりの富裕層)
芬々としてゐる。
また郷愁として、米国は古き良きプロテスタンティズムが
まだ資本主義とは結託していない「大草原の小さな家」のやうな時代もあったが、
マックスウェーバーは1900年代初頭の米国を喝破、
「精神無き専門人と心情無き享楽人」と近代資本主義の行き着くところの病を深く予兆した。
つまるところしかし、グレートアメリカでは、
市場があって価格形成を自己リレーする資本主義社会メカニズムの中で
身分秩序が新陳代謝しアメリカンドリームが為された。
だがそれらは全部、米国は入る人を拒まず、一度ならず負けた人を排除しない、
個人の自由に全幅の信頼を置いた国柄だった所為ではなかっただらうか。
辺縁系情動脳の特質は不安、恐怖、怒りなどである。
トランプ氏による選挙は彼を怒りの装置として、米国の民主主義が機能した。
しかし人類としての我々は、理性としての権利を放棄してはならない。
その権利とは理性としての国家のことであるはずだ。
ところが今や理性脳が線条体や扁桃体を中心とする辺縁系快楽感情分野に
その本来あるべき位置(理性としての権利)を譲り渡しつつあるようだ。
リンカーンは米国民主主義のチャンピオンだとし、
なんのかんのと選び抜かれたトランプ大統領は民主主義のダイナミズムの在り様だと
安倍氏は称賛しつくした。
ついこの間オバマ氏と戦艦アリゾナで海に献花したことなど
まるでなかったかのやうな節操のなさである。
1本50万円のドライバーのプレゼントが悪いと云っているわけではない。
パームビーチのゴルフが悪いと云っているわけでもない。
しかしアメリカの国是でもある自由と云ふ価値観に蓋をしかかり、
人類が長い間かけて勝ち取って来たもろもろの権利、
中でも人権に対しての制限を明確にして来たトランプ氏に対して、
まるで尾を振り、ひれ伏すかのやうに接近する安倍首相や如何に。
戦後の憲法は米国への"侘び証文"だと安倍首相は云った。
「与えられた他人の物語を生きてゐる」とする。
それを自虐史観だと云った。
トランプ氏の風圧が日本に覆いかぶさった。
「与えられた他人の物語」である。
日本は瑞穂の国豊芦原の大和し美(うるわ)し
「美しい日本」と云い募って来たのだから、子々孫々に伝えるべきだ。
この広大なグリーンでの米国へのアプローチの仕方はとても美しいやり方であると。
今回の米国へのアプローチは憲法をどう変えたいのか、
これから100年、日本をどう導いていきたいのかの全てが表れている。
自民党憲法草案の具体ではなく、自民党憲法草案全体を覆ってゐる何か、である。
日本の内閣の彼、乃至は彼たちは
みなさうやって道徳を語りたがっているのだから、
道徳を語れ。
倉石智證
まるで湯水のやうに使ってゐる。
■「日米成長雇用イニシアチブ」に=約17兆円。
自分の財布ではない、国民の財布なのだ。
貧しい国内にもっと使って欲しいものである。