■久里洋二さん「魚の木」

 

涼しさを水の中に配る

口の端から泡粒がぷくぷく浮かび上がり

どこまでもどこまでも水色に潜って行くと

そのうちどうやら息も苦しくなくなる

 

エライお坊さんが散らし

柳の葉っぱだと思ってゐたものが

いつのまにか

たくさんなお魚さんになって

泳ぎ出していた

 

倉石智證