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《外為コサックダンスレポート》I will dance cossack

         when winning a great VICTORY.


2009年11月26日

(某ディーラーの独り言)

本日、NYマーケットはThanksgiving Day(感謝祭)で休場。

為替マーケットは相変わらず積極的に売買する雰囲気でもなく、少しでも悪い材料がでてくれば最前線から撤退、後方へ退却するという感じだ→リスク回避の円買い。皆、怖々とディーリングしている。ただ、外資系金融機関のクリスマス休暇前にかけてもう一波乱は充分あるので要注意。

20日に政府が「デフレ宣言」をしたが宣言だけなら誰にもできる。具体的な対策案は何も示さずに『本邦の消費は個人消費が耐久消費財を中心に持ち直しているが緩やかなデフレ状況である』と現状(急激なデフレ)と乖離していることを平気な顔して言っていた。耐久消費財の伸びはエコポイントなどの「緊急経済対策の補助金の力」を借りて一時的に伸びたに過ぎない。本来なら『国民の皆さん、これから継続的にデフレが続けば給料も継続的に下がり大変だよ』と言うべきだろうが…。また、日銀は日銀で「景気は持ち直している」という政府と不一致の声明をだしているので訳が分からない。別に国会議員や日銀職員はどんなことを発言しても給与が下がるわけではないので関係ないと思っているんだろう。

以前にも何度か言ったが、本邦は実需の輸入と輸出の対応格差をなくさない限り景気の本格的な回復は無理だ。「輸出製品の企業は円高のガチンコ勝負で輸入農産物の業者は助太刀(高関税・補助金)あり」という不公平さでは輸出入の対応バランスがいつまでたってもとれない。輸出頼りの本邦景気の回復は足踏みするだけだろう。すなわち、「外国にモノを安く売り・外国からモノを高く買う」という現状を是正しない限り景気回復なんて望むべくも無い。結論として「輸出にも助太刀(為替介入)すべき」と思うが如何か。

EUの初代大統領(常任議長)に無難な人事でベルギー首相のファンロンパイに決まった。新大統領選出はEU単一通貨ユーロにとって影響はでないだろう。今後も「独経済の動きがユーロの上下に影響」してくることには変わりはない。ただ、今ユーロはややオーバーシュート気味なので下落リスクは考えていた方がイイだろう。


Uとのへ

一気に動いたねへ。
またお金の話になる。
「偽装献金=4億数千万円」に。
首相実母(ブリジストン創業者の長女)から一部原資。
円は急伸し一時 =86.28円に、14年4ヶ月ぶりの高値である。
金も史上最高値1トロイオンス=1180㌦台
パナソニックは1円の上昇で=20億円が吹っ飛ぶと大坪文雄社長は憤然と。
おカネは上へ下へと大騒ぎである。

急激な円高はまた米国発のアナウンスメントによるが、
藤井裕久財務大臣では介入はありそうもないという市場の受け留め方だ。
少し前の――
バーナンキ議長は講演(11/16日、昼過ぎ)で、
短期金利をゼロ近辺に据え置く金融緩和を続けると改めて強調、
「現在、米金融システムのどこにも不整合は見られない」と回答。
コーン副議長もバブルを否定し
「今の金融政策の目的の一つとして
投資家をよりリスクの高い長期資産に誘導すること」
「金利の引き上げでバブルをつぶすと経済には有害なことが多い」
とバーナンキ議長に足並みをそろえた。
バブルはスト、金利は据え置く。
「融資を提供するからレバレッジをかけて投資したらどうか」
利回りの低い証券を売りたい投資銀行は。

景気対策で買っているが。
MBS、Mortgage-backed securities民間上場企業である
ファニーメイ、フレディマックには明示された政府保証はないが、
住宅政策支援機関として優遇措置がとられていることが暗黙の政府保証とされ、
これらの機関により発行される不動産担保証券国債に次ぐ信用力を持つ。

各国中銀が抱えている資産の中身・動向による出口戦略。
米国国債住宅ローン担保証券などの中長期資産の比率が上昇。
保有資産規模を金融危機以前の水準に戻すために中長期資産すると、
長期金利が上昇➚する懸念がある。
欧州中銀は比較的短期の金融機関向けの資金供給が中心であるため、
量的金融緩和局面からの脱却は比較的容易だろう。
一方、日銀の保有資産の規模は、
金融危機発生以降もあんまり拡大していない。

政府は出口戦略も探らなければならないが、
家計はバランスシートの圧縮に四苦八苦である。
米国の借金――
カードローンを含む米国の消費者信用残高は=約2兆4000億㌦(210兆円)。
プライムの市場規模は=約8兆㌦サブプライムの市場規模=1兆㌦強より大きい。
米個人融資、リスクがなお拡大。
カードローンは貸倒償却率が最悪。
住宅ローンはプライムも延滞が急増
失業が響き、金融の業績を圧迫している。

米国は身動きが取れないようなジレンマの中にいる。
アフガンもあるし、公的医療保険の問題もある。
米国は政府も企業も家計も借金まみれで、もはや政策金利を上げようもない。
グリーンジョブだけでは心もとない。
成長が国内だけでは望めないとなれば、なりふり構わず、アジアに目を向けざるを得ない。
オバマさんはアジアを歴訪し、
「わたしはアジア出身の初めての米国大統領である」とし、
「米国はアジアの一部である」と発言した。
■米国もイスラム金融も、中国も韓国も、みな一斉にASEANに熱いまなざしを送る。
そのアジアには途方もない“ボリュームゾーン”が生まれつつある。

経済産業省の通商白書によれば、
世帯可処分所得=[5000ドル超-3万5000ドル以下]“ボリュームゾーン”と呼ぶ。
中国は=4.4億人、インドは=2.1億人、
その他のアジア諸国を加えると=8.8億人の市場になるとしている。

年収=5000ドルで中間層というのはいかにも低い、という気がするだろうが、
当社の独自調査では中国の年収=56万円以上の世帯は
エアコン、電子レンジ、冷蔵庫、TVのほとんどを所有し、車の購入予備軍でもある。
この実感の差は購買力平価で計算すると
中国では=2.8倍
インドでは=3.6倍くらいの日本円にあたるということで埋められる。
(藤山知彦・三菱商事国際戦略研究所09,11/25日経)
■いわゆる“ボリュームゾーン”。
そうはいっても、もし日本企業がこの中間層をターゲットにするのであれば、
実収入は現行為替レートなのだから、
当該市場向けの製品開発や現地生産、
場合によっては第2ブランド化などの戦略とともに
当面は低採算に耐えて市場浸透を狙う覚悟も必要だろう。
(藤山知彦・三菱商事国際戦略研究所09,11/25日経)
■売る時は当該市場の為替レートに合わせるしかない。

一方、先進国では猛烈なデフレが始っている。
預貸ギャップが積み上がり、信用供与へと結びつかず、
国債や現金へと回帰している。
設備投資は進まず、ファンダメンタルズは縮こまったままだ。
資源は消費されず、したがって雇用は増えない。
稼ぐ力が無ければ消費する力も同時に減衰した。

日本ではデフレがもたらす重大な脅威。物価の趨勢を決定するのは
需給ギャップ(現在輸出が激減し=40兆円とも)
通貨供給量(金融政策)
③人々のインフレ期待
世界の先進国共通の「望ましい物価安定の理解」は、
物価上昇率=プラス2%程度。
日銀が物価下落に対して
「どんな姿勢で対応するか」
が将来の物価動向に影響を及ぼす。
■「金融緩和の度合いが経済状況に比べ強い」韓国、利上げか(韓国中銀09,10/7日経)
はすでに利上げ。

業績が改善しても2007年に生じたピーク水準には戻らない
7割経済である。
ピークに合わせて固定費を抱えたなか、
リストラと同時に少しでも稼働率を上げるべく価格引き競争に向いやすく、
物価下落圧力が生じる。
こうした状況は日本のバブル崩壊後の1993年と類似し「価格破壊」が流行語になった。
日米欧消費者物価指数が同時にマイナスにある。
日米欧銀行貸出も同時マイナスも異例である。
米国のドル安容認は米国にはインフレ要因だが、
日欧には一層物価下落圧力をもたらす

デフレがもたらす恐ろしい脅威である。
ものすごい光景である。
就活の学生が2千人以上も会場に溢れている。
大学生の新卒の内定率が=62%台。襲職氷河期である。
職に就けない若者たちは将来の目標から遠ざけられ、
さらにフリーターとして社会にとどまり、
足踏みをしているうちに永遠に日の目を見ないままに冷たい貧困の中へ落ちて行く。
そんなことだってあり得るのだ。
政府も日銀も希望のある眼に見えたアナウンスメントを、
極端に言えばウソでもいいから株価が上昇するようなことを明言し続けるべきだ。

世の中はいい方向に向っているのだろうか。

擬似通貨ナナコ、スイカ、ワオン・・・マイレージ、
「ポイント獲得」競争も激化(利用者側では「資産」とみなされる)。
ローソンなどの三菱系はポイントカードの囲い込みを始めた。
5年後=5000万人を目標とする。
一人で20-30枚ものカードを持って、ポイントを渡り歩く主婦がいる。
1ポイント=1円、だとも。生活とはいうものの、
あたら貴重な生きる時間とエネルギーを、主要な事とも思へないそのやうな事に費やし、
あたら棒にふっている。
そこに思考があるとは思へない。
あるのは哀しい反射神経のみだ。
我々から思考を奪い始めた。

めぐりめぐる紙幣は、ただの紙切れではなく、
人間の魂とか心を載せて流通していた(森田芳光映画監督)。
“ワン・クリック”、ポイント制、個人的なことが実は大勢の問題につながる。
お金の使い方は、経済にとどまらず、社会や政治の分野に影響を与えている。
効用の総和が社会厚生になるのか。
マルクスの現実的ではなく空疎であるが不思議な言説が思い出される。
その基礎にある人類解放の熱情,
万人が物質的保証され,
精神的自由な社会を建設しようという理想主義の側面
■モノの頂点に君臨するのはおカネであるか。
さらば精神の頂点に君臨するのはあたかも性であるのか死であるのか。
人が自由であって、自分が自分であるとき、
モノと精神からの絶対的な解放が必要である。
親殺し、子殺し増えて冬の寒む
今日もどこかで高校生が父親を刃物で殺して家に火をつけた。
社会的ストレスが限界まで溜まってきている。

智笑