毎週月・木曜日配信
《外為コサックダンスレポート》I will dance cossack
when winning a great VICTORY.
2009年10月29日
(某ディーラーの独り言)
為替相場は毎日というか、半日毎、時間毎で流れが変わる。早朝「売り相場」でも東京株式市場が開くと同時に「買い相場」に変わる、午後に入ると今度は「売り相場」になる。当然その逆もある。それをどう判断するか一瞬の判断が求められる緊張した瞬間だ→ディーラーの醍醐味でもある。
今週は月曜日から合計1230億ドルの米国債の入札がおこなわれている。本邦の機関投資家が積極的に買いにいっているとは思えないが、短期債ならば、いくらか買いにでているところもあるだろう。「長い」のは怖くて買えないというのが本邦投資家の本音だろう。ただ、米国債不人気で債券価格下落で利回り上昇(悪い金利の上昇)の局面になれば食指を動かす本邦投資家もでてくる。
世界的にドル安傾向が強まる中、当事国の米国のシンクタンクの責任者から『米ドルの基軸通貨体制はもはや我が国の国益に沿わないので米ドルの支配的な役割は徐々に下げるべきだ』との提言があった→『ドルが貿易決済通貨であることはドル高を招き米国の貿易赤字拡大につながるということと世界から米国への巨額資本流入は低金利や過剰流動性をもたらし、現在のような経済危機を引き起こす』と言っている。当事国の米国からこういう話がでてくるということは「ドル・ユーロの2極体制」に向かっていくのは意外と早いかもしれない。また、「輸出主導で景気回復を目指している米国」としては暗に人民元の切り上げを要求しているのだろうが、声高に言えないところが辛い。
郵政新社長に決まった斎藤氏に『シンガポールのような「政府系ファンド」を作る考えがあるのか?』の問いに否定せず、就任してから考えると答えた。もともと「ユウチョ」は「セイホ」と同じく為替市場を大きく動かすこともあった世界に冠たる投資家であった。郵貯・簡保で302兆円の資産の1割程度の資金で「政府系ファンド」を作ったらマーケットに厚みがでてきて非常に面白いし、景気浮揚の一助になると思う。マーケット関係者にとっては是非実現してもらいたいところだ。
Uとのへ
国に安定と繁栄をもたらすことである。
金融はあるところからないところへ融通すること。
金融を通して信用創造をくりかえし、マネーを成長に供給する。
財政はパンパンだ。95兆円にびっくりして長期金利が上➚がり始めた。
そして、今日、株価は下がった。
市場はなんに反映して、どんなシグナルを送っているのだろう。
政府が比較的コストをかけずにできる作業に為替がある。
中国は去年の夏から為替を完璧にドルにペッグ、為替安に介入している。
アジア通貨危機のときでも人民元は安定していた。
すでに充分為替安に定位していたからだ。
その後変動相場制に移行しても(2005年)、ドルに対しては上下=3%の範囲として、
介入も含めて通貨の安定に努めてきた。
今年になって元は貿易の人民元決済を始めたが、
当面は中国企業の為替リスク対策であるが、
人民元を中心に東アジアの為替安定を回復する試みでもある。
中国の人民元国際化に向けた措置――。
09,7月元建ての貿易決済の一部解禁に次いで、
9/8日には元建て国債を香港で発行すると発表した。
■中国政府は7月、上海、広州、深圳など中国本土の一部都市と、
ASEAN、香港、マカオとの貿易取引について、元建てでの決済を試験的に解禁した。
中国の輸出企業は元建てで代金を受け取り、
輸入企業は元を国外の企業に支払う仕組みがすでに動き出している。
■元の国債の発行によって、国外の企業などいままでは運用先が限られていたが、
運用が容易になり、元の通貨としての魅力が増すことになる。
元建ての貿易決済の解禁と元建ての債券市場の整備は
元の国際化に向けた「車の両輪」といえる。
中国の温家宝首相とロシアのプーチン首相は9/13日、北京で会談、
貿易決済で人民元とルーブルの活用を拡大。
円が東アジアの諸通貨に対して変動する構図が定着すると、
企業は生産の拠点のアジアシフトを加速する。
企業は繁栄しても、
日本はアジアとの共生がもたらすはずの生産と雇用を海外に押し出すことになる。
ところが、藤井裕久財務大臣は・・・
「(円売り・ドル買い)介入を安易にしない」
方針を示す(9/24「G20」で)。「人為的な通貨安政策はおかしい」(9/28)。
円は一時、8ヶ月ぶりに1㌦=88円台前半まで上➚昇。
G20で米国の対外不均衡の是正を打ち出したため、経常収支に関心が集まるようになった
→ドル安。
出口戦略が長引く
→米国の金融緩和策も長引く
→ドル安。
イングランド銀行のキング総裁は「輸出増につながる」と、
ポンド安を容認する発表をしたのとは対照的だ。
投機筋はドル売り材料を探しており、
円が狙い打ち(仕掛けられやすい)されやすくなっている。
一方、
世界の通貨バスケットであるSDR(特別引出権)に対する
各国通貨の変動率は過去2年間、ドルとユーロの年間=約10%に対し、
アジアの主要10通貨は平均=20%と=2倍だ。
加えて昨年夏以来、人民元の対ドルレートが事実上固定された結果、
人民元がアジア通貨に対して下落し、アジア通貨間のひずみが拡大した。
基軸通貨ドルの信認が揺らぐなかで、ドルの変動にアジア経済が振り回されかねない状況だ。
通貨バスケット制は
自国の通貨を複数の外貨に連動したレートにする固定相場制のことである。
外貨の構成比率は貿易比率によって決めるのが一般的である。
先進国等、経済規模が大きい国では主に変動相場制が用いられており、
そのレートは比較的大きく変動している。
そのため貿易比率がある程度分散している場合、
一国の通貨に連動する体制を取ったのでは
他の貿易相手国との為替レートが大きく変動してしまう。
それをある程度緩和できるというメリットがある。
近年では2005年に中華人民共和国が採用した。
「ドル一極体制」も風前の灯だ。
今後は特定通貨が世界経済の運命を引き受けるのではなく、
主要国が集まって多通貨を組み込んだ「バスケット通貨」をつくり、
石油や主要資源の価格を表示するシステムを考えることが必要である。
例えば原油生産国の立場で考えれば、そのメリットはわかりやすい。
彼らの通貨の大半はドルに連動しているが、
じつは米国よりも欧州から製品をたくさん輸入している。
バスケット通貨には、ドルのほかに、ユーロや円、人民元などが組み込まれるわけで、
ドル安に伴う購買力の低下を取り戻せる。
1990年代以降の日本の経験から振り返って、
デフレからの脱却を最後に後押ししたのは円安である。
ガイトナーさんは「強いドルは国益」と繰り返したが市場は無反応。
サマーズさんも「ガイトナーさんがそう云っているではないか」と同調するかの素振り。
本音はどうも「うまくいっているのだから放っておいてくれよ」ということらしい。
さすがに各国から不満の声が出始めた。
ドルが下がる
→カナダドルが上昇。
→ユーロも上昇。
カナダもフランスも自国の産業界に打撃になると警告ないしは懸念を表明。
レアルの急伸に外資課税という劇薬を投じたブラジルでは、
マンテガ財務相が引き続きレアル高への対応を検討している。
■韓国もタイも為替介入で自国通貨の相場上昇をけん制。
ドルペッグによる人民元安で、輸出競争力をかさ上げしてきた中国への対抗策だ。
米中がドル安の恩恵を独占する構図である。
しかし、人民元は相対的に増価している。
元高へ(08年の名目GDPは元建てだと前年比=17%増➚だが、
ドル建てだと=3割増➚になる)
=外国企業にとって通貨高➚はその国の労働コストの上昇➚を意味する。
中国の一般工場労働者の月給は他の途上国に比べて高くなった。
中国は去年の夏から上がらない、実質ドルとペッグしている。
上がらない人民元に対して、
韓国はじめ台湾、東アジアの通貨当局が輸出企業保護のために
自国通貨・地域通貨の相場上昇の回避に動き出した。
為替介入、連鎖の恐れ。
台湾はかって中国への生産移転で空洞化の危機に陥ったが、
液晶パネルや半導体など新たな輸出産業の育成で息を吹き返した。
中国が通貨安で台湾企業を引き寄せれば再び空洞化の懸念が強まりかねない。
(中前忠さんより10/5日経)
ドル安(ドルキャリー取引が活発化)
→「円キャリー取引」の手仕舞い。
返済用の円を買う動きがさらに円高を加速させている。
■円高は家計の購買力を高め、内需型産業のコストを引き下げる。
他方で過剰設備を抱える輸出産業の規模の縮小と合理化を促進させる。
この意味で円高は、日本の産業構造の変革にとって必須の条件である。
円高の不況効果を嘆くのではなく、
持続的な成長を実現するには内需主導型への転換が不可欠なのだ。
危機(バブル)の後には過剰が残る。
人(雇用)、モノ(在庫、設備)、カネ(借金)。
政府は失業の増大を恐れて
①財政出動(減税含む)→財政赤字
②超金融緩和策へ
(過剰設備の廃棄を遅らせ供給過剰を放置することによって、経済の非効率化とデフレを招く)。
■米国の量的緩和政策が生み出しているのはドル・キャリートレード
(円キャリーより使い勝手が良い)という新たなバブルである。
実体経済が不振の中で、内外の債券、株式、国際商品への投機が進んでいる。
■ドル安を支えに、原油先物の上値を試していた投機筋がすかさず利益確定売りに動いた
→原油・商品安が素材・エネルギー株の売りを誘発。(09,10/27)
とりわけ問題なのがドル安である。
投機資金がアジアの株式や債券に向えば、ドルはアジア通貨に対して弱くなっていく。
アジア各国は輸出競争力を維持しようと為替市場に介入すれば、
→外貨準備が増え、国内通貨が増発され、
→資産インフレが一段と加速する。
■中国の場合でいうと、(4-9月までの半年間で)、外貨準備が=3190億㌦増➚えたが、
この間の貿易黒字=740億㌦に対して、資本流入が=2450億㌦にも上➚がっている。
■最大のリスクは、こういったなかで経済の低迷が続き、
米国の貿易赤字が、アジアでは貿易黒字が解消していくことである(実体経済の不振の中で)。バブルが再び弾けると共に、ドルが反転した時になにが起こるか。
アジア通貨は急落し、資金は流出し、金融が一気にタイト化するであろう。
(以上、中前忠さん)
1994年に中国はクリントン政権と人民元の相場を40%近く下げることにした。
おかげで1997年のアジア通貨危機を無傷で乗り切った。
2001年、WTOに加盟する。
2005年、変動相場制とはいえ、実際はドルに固定に近いバスケット制を取り入れ、
その後は少しずつ元高に誘導してきたが、介入を忘れたわけではない。
リーマンショックが起こる前の08,8月頃から急遽、一貫して元を水平にコントロールし始めた。
中国5000年、おそらくスーパーエリートたちが集まって、
通貨を繊細にコントロールしているのだ。
遅れてきた新興国という恵まれた立場とはいえ、
なりふり構わぬその一貫した姿勢には感心せざるを得ない。
そして今年になって、中国は元の貿易決済を一部解禁、
ついで、香港で元の国債市場を創設した。
さらに、
中国版ナスダック「創業板」に上場する=28社。
IT、環境など28社、30日上場。経済のけん引役育成。(09,10/20日経)
さらに、
中国が国際業務などを手掛ける中国資本の大型会計事務所を育成、
世界の有力会計事務所に対抗できる事務所を育てる。
5年で大手10前後に。
海外投資や海外上場など中国企業の国際化に対応。
つまり、さらなる「走出去」に備えてである。
むろん07,9/29日に公式に運用を開始した中国投資有限公司(CIC)は、
世界中にその投資機会を着々と進め、チャンスを虎視眈々と狙っている。
国会答弁が始った。
民主党鳩山政権にはいまいち成長戦略がないばかりか、
市場がそろって“ノー”といっているような気がしてならない。
薄ら寒さを感じるのはわたしばかりだろうか。
智笑
政府の役割は金融・財政、租税、為替政策を通じて