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《外為コサックダンスレポート》I will dance cossack


         
when winning a great VICTORY.



2009年10月12日


(某ディーラーの独り言)

本日は「体育の日」で世間はお休み。為替ディーラーは朝から緊張のディーリングだが、ほとんど動意がみられず。先月のシルバーウィークのようにマーケットの動意が薄いままで終了してしまうのか?いずれにしても、しばらくは「リスク回避の円買い・リスク選好の円売り」というラリーが続くだろう。


先週から米第3四半期の決算が始まり今週から本格化するが、昨年のリーマンショックで景気が落ち込んでいた「昨年の第3四半期分の反発」があるだろうけれどもまだまだ楽観視するのは早いと思う。景気回復の兆しあれど、あくまでも兆し。


鳩山政権がマニフェスト実現のためには「赤字国債発行不可避」の情勢になってきた。補正予算の3兆円の削減はある程度の目処はついたようだが、景気悪化による税収不足が確実となったことが要因だ。税収は46兆円の見込みながら40兆円ほどになりそうだ。このままだとかなりの財源不足となり、「赤字国債発行止むなし」という状況だ。民主党マニフェストでは「赤字国債の発行はしない」としていたが、税収不足は何ともし難い。ここは鳩山政権の正念場だ。


先週末は一時、ドル/円はややドル高方向にいったが、ここのところの流れは商品価格の上昇を背景にドル売りの流れが加速してきたことは間違いなさそうだ。金先物価格は1060ドル台まで上伸、原油先物価格も72ドル近辺の動きになった。こういったことから「資源国通貨主導」ドル売りが活発化した→資源国通貨の豪ドルはサプライズだった利上を背景に更なる上値を窺うことになるだろう。欧州通貨なども対ドルでは上値を伸ばし、ドル売りの流れが加速してきた。ドル一人負けの様相を呈してきたということかな?


上段で言った豪ドルの上値追いは避けられないと思うが経験則上(レートに値ごろ感があるという意味ではない)80円超えはオーバーシュート気味」だ。後3~4円上昇したら大きな調整が入るのではないかと思う。要するに若干バブル的な要素がでてきたのではないかな?と感じる。


Uとのへ



いささ叢竹吹く風の・・・である。
風はどのように吹いているか。
オバマさんがノーベル賞を受賞し、
岡田克也外相がアフガンとパキスタンに飛んだ。
給油活動はようやく停止される。

1602年に設立されたオランダ東インド会社は世界初の株式会社といわれる。
会社といっても商業活動のみでなく、
条約の締結権・軍隊の交戦権・植民地経営権など
喜望峰以東における諸種の特権を与えられ、
アジアでの交易や植民に従事し、一大海上帝国を築いた。

1840年代にはイギリスで“リミッテッド”という概念が起り、
会社の設立が容易になる。
同時にスコットランドの地域から会計法が合体してきた。
1880年代のころまでの英国の一人勝ち、大ブリテンの下地ができた。

上場会社は様々な利害関係者(ステークホルダー)を前提として成り立ち、
人、モノ、カネの経営資源(M&Aや持ち株会社)や
資産の入れ替えや選択と集中によって、絶えず環境に適応、
最適地生産と最適地販売を繰り返すことで利潤を高め、
雇用を満たし、税金を納め、付加価値を生み出すことで社会的責任を果たす。
バランスシートの「右」には資本の調達と財務があり、
「左」にはリスクを取り続ける経営がある。
企業は剰余を生み出すことが目的で剰余は結果として株主に配分され、
さらに持続的に資本の調達のために役に立ちことになる。
資本主義の根幹には
私有財産の強力な保護と、
契約の自由の保障があり、
主権国家と密接に結びついている。

経済において成長は利回りを生むが、
しかし、北半球においてあらかたの戦争が終わった今では、
先進国はおおむね成熟した経済、つまり定常化社会に入ってしまった。
利回りが出ない社会である。
「利」が薄ければ×「資産」である。
そこに“レバレッジ”が生まれてくる下地があったのだ。
「利」が薄ければ無理無理信用スプレッドを大きくする。
リスクとは体のいい言葉であるが何のことはない「人の不幸は蜜の味」なのであって、
市場ではその不幸に値段をつけてお互いに取引をしている。
そしてさらに、しまいには誰がババを掴むかということになる。
ガンジーさんが奇しくも昔仰ったように
「この文明は不健全」「この文明は不道徳」
であるのだ。

ファンダメンタルを離れて行くバブルはいずれの時代にもあり、
それは人々の欲望の中にある。
1907年、株価暴落で銀行の取り付け騒ぎ。
1913年FRB設立。
1929-30年、大恐慌。
1933年<グラス・スティーガル法>成立。銀・証
「規制」の時代があった。
ちなみに
1933年<グラススティーガル法>(銀行・証券の分離を定めた)の制定後、
銀行の長期融資の是非を巡る議論が起き、
銀行は「債権を売却しなければ(満期まで保有し続ければ)法に抵触しない」
と反論した経緯がある。
銀行融資債権流動化は銀証問題の核心の一つなのだ。

自由市場は良質で強力な規制がなければ機能しなかった。
米証券取引委員会(SEC)は米国の発明だ
金融商品を使ってビジネスや企業が目的を果たせるように努めている
ロバート・シラー・米エール大学教授09,9/13日経)
シラーの名を冠したS&Pケース・シラー住宅価格指数は米不動産市場の最重要な指標。

米証券取引委員会U.S. Securities and Exchange Commission = SEC
フランクリン・ルーズベルトの大統領任期時代の1934年、証券取引委員会が設立された。
フランクリン・ルーズベルトによって初代証券取引委員会委員長に任命されたのは、
後のアメリカ大統領・ジョン・F・ケネディの父親のジョセフ・P・ケネディであった。
ジョセフ自身がインサイダー取引など数々の手口を駆使して
大富豪に成り上がった人物であったため、この人事には反発が強かった。
この人事についてフランクリンは
「オオカミを捕らえるためにオオカミを使う。
彼なら取引のからくりを何でも知っている」
と発言したという。

1970年代ころから米国では「金融の規制緩和」の時代に入っていく。
1975年、株式委託手数料自由化。
1999年<グラム・リーチ・ブライリー法>成立。銀・証の垣根
2004年、大手証券に連結ベース規制導入、レバレッジの規制

産業資本主義銀行預金という安定資金)、
金融資本主義市場から調達。
70年代半ばから金融・資本市場の規制緩和で、
証券、保険、ファンドが金融の中核を担うようになってきた。

金融とは短期で借りて長期で運用することだが、
金融資本主義では自己資本を少なくして(損失吸収に脆弱、また貸し渋りの原因にも)、
自己資本に対しての資産を膨らませるハイリスク・ハイリターンのレバレッジ操業を特徴とする。
また株主も投資家も短期な結果を求めるようになった。

米国は製造業も、輸出も忘れたかのようになった。
日本との自動車貿易摩擦1998年ころを持って終焉している。
だが、1995年R・ルービン財務長官「ドル高宣言」
マエストロ・グリーンスパンの“ハンズオフ”、つまり市場に任せるという微妙なアナウンスによって、
株価は一時は2000年ITバブルや、「9.11事件」の影響はあったものの
史上空前の=1万4000㌦台の高値にまで達した。
ちなみに米国の株価はこうなっている。
■ダウ平均(60年代終わりころ→82年ころまで)は(だいたい=1000ドル台で推移)
■ダウ平均(80年代末→08年リーマンショック)は(約2000㌦→約1万4000㌦台に)
マネーを操作すればこんなに儲かる。
我が世の春と気分も昂揚した。
米国は如何に産業資本主義からはずれて、
金融資本主義の金儲けに走ったかが分かる。

スペインがかってアステカ、インかを攻め、
もって内国にとの金融バブルをもたらして、
自国の産業の基盤を作るのをおろそかに、
もってエリザベス女王の海軍にアルマダの海戦でスペインの無敵艦隊は敗れ去った。

マネーはまた行き先を求めてうごめいている。
リーマン・ショック後に各国中銀が市場に供給したマネーが
国際金融市場で行き場を探す展開となっている。
世界で流通するマネーの物差しとなる「ドルの流動性」
(ドルのマネタリーベースと外国が外貨準備として保有する米国債の合計)は
7月時点で=3兆6500億㌦
前年同月比で=6割以上も増加。
「円キャリー」から「ドルキャリー」(低利で㌦調達→運用)
などの商品市場や資源国通貨などに回す。
原油は(ドル建てで安く)
→原油が買われて09,8日終値1バレル=71.10㌦
08年12月の底値に比べ=2倍強の水準まで
オイルマネーはユーロー向うとの連想から→ユーロも買われた
(09,9/10日経)
今もその傾向は変わらない。

「世界を買い、国内を売る」
NYのヘッジファンド、ピコニック・パートナーズはこの戦略で金融危機を乗り切った。
買う株は海外で稼いでいる米企業だ。
「回復しても米経済の成長は鈍い」。
こう読むビル・ハーニッシュ社長は、
過剰消費時代を終えたのに内需にすがっている企業には空売りをかけるのだ。

「世界を買い、日本を売る」
これが今の日本の市場でもあろう。
日本の企業は一生懸命アジアに出掛けていった方がいい。
岡田大臣はアフガンとパキスタンに行った。
米国のUSTRのやうに、
外務大臣であるよりも、外務通商大臣であって欲しいのだが・・・
イオンの息子は“商人あきんど”の人(!!)

我がやどのいささむらたけ吹く風のおとのかそけきこのゆうべかも(家持)
いささ、である。
叢竹、である。
風はどのやうに吹いているのか。

智笑

いささ叢竹・・・である。