景気対策
09年補正予算=14兆円が5/29日に成立した。
1-3月期の需要不足は=45兆円。
①雇用対策
②金融対策が止血に近いものだとすると
③財政出動による有効需要の創出は手当、治療に当たる。
ゼロ金利近辺まで下げても金融機関は貸し渋り、借りる方も凍りついたままの状況では、
政府が財政出動せざるを得ない。
信用補完
リーマン破綻以降、
・長期国債の買い増し、
・民間企業の社債やCP、
・民間企業の株式、
・民間金融機関の劣後債などの購入
(金利の付いている資産を次々と購入することで貨幣を供給できる)、
・外国中央銀行との通貨スワップの設定など次々と新しい政策手段を導入してきた。
⇒資金供給オペの適格担保の拡大やオペ期間の長期化へと進んだ(量と期間)。
イールドカーブの基点を
平常時(伝統的金融政策=守備範囲としては短期の銀行間取引)、
金融市場が発達した主要国では、市場間の裁定取引(金利差利用のさや取り)が活発で、
銀行間金利に代表される短期金利と長期資金調達の基準となる長期金利との間に
相応の裁定関係がある(イールドカーブ)。
中央銀行は日々の資金需給を予想しながら民間銀行などと資金取引を行い、
政策金利(日本では無担保コール翌日物金利)をコントロールする(金融調節)。
■物価安定と景気の制御(コントロール)とは、
中銀によるこれらのイールドカーブの基点を変化させることで、
証券市場などの直接金融市場や、
間接金融である金融機関の仲介行動(与信活動)に影響を与え、
金融市場全体の機能経路の活発化により、経済活動に変化を及ぼすことである。
■危機が発生すると波及経路はまず「信」が失われ(クレジット・クランチ)
それから資本の毀損(キャピタル・クランチ)へと瞬く間に伝染する。
■危機が発生すると市場参加者は最も悲観的な場合を想定して
その中で最善を尽くそうと(市場参加者レベルでの合理的であろうとする)行動し、
つまり回復するまで動こうとしなかったり、
あるいは資産の現金化や回収などにより、逆にそれらは結局合成の誤謬を招くことになる。
危機とはこの市場全体の機能障害、金融政策波及経路の毀損ないしは喪失である。
中銀は伝統的政策金利が本来持つ緩和効果の発現を助ける必要がある。
直接金融市場、間接金融市場を問わず、機能障害を修理、肩代わり、補完に出動しなければならない。
■中銀はバランスシートで
(足しあげたバランスシートの大きさは必ずしも市場全体の機能不全度合いを一意に表すものではないが)
補完・肩代わり(適格担保範囲、期間、量)するが、
市場が改善、平常に戻るにしたがって、
バランスシートはまた縮小(中銀の介入は低減)していく。
ただこうした介入による資源配分のゆがみによる損失よりも便益が上回っているか、
また資産のリスクの度合いを注意深く見守る必要も同時にある。
(西村清彦・日本銀行副総裁09,6/26日経)
イールドカーブと資金市場
(短期資金に再び余剰感)7月は国などに市場の資金が吸い上げられる資金不足日が多いので、
本来なら金融機関の資金調達意欲が強まるはず。
だがそういう月ほど、日銀は資金供給を積極化する。
逆に国債の償還など国から市場にお金が入ってくるようなケースだと、
日銀は追加の資金供給はあまりしない。
09,1月より日銀が導入した<企業金融支援特別オペ>(モンスター・オペレーション)。
企業が発行する社債やCPを担保に差し出しさえすれば
翌日物金利の誘導目標と同じ年=0.1%で3ヶ月物の資金を無制限に調達できる。
→金融機関や機関投資家は余剰資金を
とりあえず当座預金よりもやや利息の高い短期債に振り向けている(※差益)
(長期債には警戒・業績悪化で投資に向わず→ゆがみ)。
日銀の独立性
財政当局と金融当局の仕事の線引きがあいまいなものになってきた。
中央銀行券を発行できる唯一の機関として、
財政当局から独立した権限を与えられた組織があるからこそ、
膨大な政府負債があるにもかかわらず、我々はインフレから守られている。
中央銀行の本来の役割は、流動性の供給である。
特定の企業や産業に選択的に資金を融通したり、
民間企業のリスクを負ったりする仕事は、
税収という財源がある政府が担うのが自然である。
もし財源を持たない中央銀行が多額の民間企業の不良資産を抱えれば、
中央銀行が発行している銀行券の信認が失われるからである。
(webより)
日本銀行法では、日本銀行は、銀行券を発行すると定めています。
銀行券は、独立行政法人国立印刷局によって製造され、
日本銀行が製造費用を支払って引き取ります。
そして、日本銀行の取引先金融機関が日本銀行に保有している当座預金を引き出し、
銀行券を受け取ることによって、世の中に送り出されます。
この時点で、銀行券が発行されたことになります。
銀行券は、さまざまな資金の受払いに利用可能な
・決済手段であり、特に小口資金のための受払いの手段として広く利用されています。
銀行券には、銀行券を用いて支払いを行った場合、相手がその受取りを拒絶できないという、
法貨としての強制通用力が法律により付与されています。
日本銀行が発行した銀行券は、
その後、金融機関から預金を引き出した人々や企業の手に渡り、
・商品の購入や、
・金融取引の対価、
・税金の納付といったさまざまな目的に利用されます。
また、銀行券の一部は金融機関に持ち込まれ、
・預金として預けられます。
→「信用創造」によって資産化されることでさらにマネーが生み出されることになる。
■金融機関は、利用者への支払いに当面必要としない銀行券を、
日本銀行の本支店に持ち込み、日本銀行当座預金に預け入れます。
このように銀行券が日本銀行に戻ってくることを、銀行券の還収といいます。
日本銀行や金融機関は、銀行券が全国各地にくまなく行き渡るための
流通拠点としての役割を果たしています。
日本銀行は11日、09年3月期決算で自己資本を増強するため、
資本に繰り入れる法定準備金を積み増すことを財務省に申請した。
毎年、最終利益の5%を資本に繰り入れる決まりだが、
今回は3倍の15%を積み立てる方針で、財務省も応じる見通し。
金融危機後、コマーシャルペーパーや社債など、リスクのある資産を購入しているのを踏まえた措置で、
準備金の積み増しは4年ぶり。
日銀法では、決算で企業の最終利益に当たる剰余金の5%を法定準備金として資本に組み入れ、
出資者への配当を除いた残りを国庫に納付する(国庫納付金)。
08年3月期は6407億円の剰余金に対し、
5%に当たる320億円を準備金として自己資本に組み入れた。
ただ、急激な円高で日銀が保有する外貨建て資産が大きく目減りしたことなどから、
09年3月期の剰余金は前期の半分程度に落ち込むとみられ、
準備金も400億円超にとどまる見通し。
資本増強後の自己資本比率は分母となる銀行券(紙幣)発行残高の増加もあって、
7.47%と昨年9月末時点の7.54%を下回る。
日銀が健全性の目安とする8~12%にも届かない状態が続く。(web堀口元)
現在必要なのはまさに財政と金融が一体となった政策発動である。
日銀の国債引き受けを実行したのは、昭和恐慌からの脱出の立役者、高橋是清蔵相のときである。
実行されたのは1932年11月。
前年1931,12月、蔵相就任と同時に金本位制を停止した高橋は、
32年3月に日銀の直接引き受けを宣言する。
それと同時に日本経済は急激な回復を開始する。
はたして、どっちを優先すべきなのか。
世のなかはすべて裁定取引で成り立っている。
根本は「利」である。
安く調達して、高く売る。
マネー自身も商品になった。野菜、果物と同じである。
安く仕入れるか、どのくらい仕入れるか、いつ、どこで、誰に売るのか――。
外界の気象条件もあれば、需要サイドの景気の状況にも、人口動態、嗜好の変化など、
様々な環境の微分にさらされている。
そればかりではない。
野菜、果物が腐っていくことだってある。
リスクはいたるところに潜んでいて、したがって先物もあれば、ヘッジ商品、
CDSなどリスクを取引する商品まで生まれてくる。
信用取引など、借りてきて高いときに(例えば大根・ドル=98円)売り、
安くなったら(大根・ドル=93円)買って戻せば、=5円の利益が出るというわけだ。
物理では水をせき止めて落差を作ると、
水は勢いよく流れ落ちて、自然エネルギーとなる。
かりにその下に水車があれば自然エネルギーは水車を回すエネルギーになり、
あるいはモーターを回せば、電気エネルギーに転換できる。
人間にとって「利」、「差益」、「利回り」は欲望を生み出すエネルギーとなり、
あらゆる無心の自己発現、利己心の行動基盤の基点になる。
日銀はまず最初に「イールドカーブ」(長短金利の相応関係)の基点を操作し、
短期→長期国債→株式市場→不動産市場→商品市場・・・
などへと波及経路を観察する。
成長への準備金を供給するのも日銀というわけだ。
なんだかみんなが共犯関係、つまり、グルになっているような気がしないでもない。